全作品リスト

書名:短編集

書名:長編

書名:掌編集/実話怪談

書名:ホラー関連書

作家リスト

シリーズリスト

特集ページ

サイトトップへ戻る

本サイトについて

更新履歴

累計:

今日:

昨日:

『壊れるもの』文庫表紙

『壊れるもの』文庫表紙

『壊れるもの』文庫帯

『壊れるもの』文庫帯(文庫初版バージョン)

『壊れるもの』単行本表紙

『壊れるもの』単行本表紙

壊れるもの

Kowarerumono,2004

作:福澤徹三

Written by Tetsuzo Fukuzawa

長編

幻冬舎(幻冬舎文庫)/本体600円+税

単行本初版:2004年7月30日

新書本初版:−

文庫本初版:2008年2月10日/総292ページ(41w×16L)

仕事が、家庭が、人生が壊れてゆく…
日常の陥穽にはまった男の狂気を描く異色ホラー

 大成百貨店・外商部の課長職に就く西川英雄は、陰鬱な日々を送っていた。
 不景気を受け、業績は悪化の一途をたどっている。見通しも暗い。
 無理して購入した郊外の一戸建てへ帰れば、不審な外出をする妻の陽子と口論が絶えず、高校生の娘からは汚物扱いされ、孤立感を深めていた。
 なぜ、この女と結婚したのか。英雄は学生時代の出来事を思い出す…。
 親友の健二に誘われ、愛由美、陽子とともに噂の幽霊屋敷「ドリームハウス」へ肝試しに向かう。暗い廃屋で愛由美から告白されたが、彼女は健二の恋人。そのとき、なにかが見、パニックに襲われた愛由美が転倒して死んだ。
 彼女の告白を受け入れていたら。結婚していたら。オレの人生は…。
 ある夜のこと、自宅裏の森で作業音を耳にする英雄は、フェンスで取り囲まれた区画を目にする。いったい何をしているのだ。何かあるというのだろう?
 会社との軋轢で退職した英雄は、日常に潜む憎悪に侵され、壊れていく。

 出版社の売り文句「サイコホラー」を字面通りに受け取ると肩すかしをくらうかもしれない。超常現象っぽいものも登場するけど、主眼はそこにない。ゆえに読み手によって読後感は大きく異なるだろうけど、会社勤務の経験者ならば背筋が寒くなこと請け合い。他人事ではない怖さを思い知るはず。
 人生、八方ふさがりとなる主人公。会社人としての懸命な努力も報われずにキャリアが瓦解し、孤立し、堕落し、狂気に染まっていく。毎日少しずつ死んでいくという感覚が怖い。家庭内不和のシーンで「にわかに気持ちがざらついてくる(p97)」など、明快でなおかつ味わいを含んだ文章もよい。

【サイト登録日】2008年9月28日 【ジャンル】異常心理・サイコ・分身・ドッペルゲンガー

▽メモ1「圧迫面接(p199)」

意地悪な質問で受験者の対応を見極める面接方法。

▽メモ2作者の主張が強く出ている表現(p246)

「偉そうに口をはさむ他者にしても主観を彩る景色であって、つまり、客観も主観の一部でしかない」

▽メモ3文庫化にあたり、大幅に加筆・修正