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『祝山』文庫表紙

『祝山』文庫表紙

『祝山』文庫表紙

『祝山』文庫帯(初版バージョン)

祝山

Iwaiyama,2007

作:加門七海

Written by Nanami Kamon

長編

光文社(光文社文庫)/本体476円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2007年9月20日/総245ページ(40w×16L)

忌山に祟られた者は狂気に染まっていく…
作者の心霊観を色濃く反映した因果ホラー

 ホラー小説家である私、鹿角南(かづのみなみ)は、肝試しをテーマにした小説に取り組んでいるが、どうも執筆がはかどらない。
 幽霊を信じている私は、肝試しが死者を冒涜する行為だと思っている。祟られるのは自業自得という考えがあり、いきおい批判的な論調になってしまうのだ。
 そんなとき、疎遠になっていた友人の矢口朝子からメールが届く。同僚の男女4人と山中の廃工場へ肝試しに行ったが、それを境に奇妙な現象が起きている。
 愚かな行為の代償と切り捨てつつも、作品の参考にしたい下心から4人と会う。その日を境に私にもたたりが伝染したらしい。
 独自調査を始めた私は、いまでこそ「祝山」と呼ばれているが、元をただせば「位牌山」の読み替えだったことを知る。忌山、入らずの山、草木1本持ち出してはならぬ山、猛き神の棲まう山。
 果たしてたたりから逃れる術はあるのだろうか。

 加門七海の諸作は、実体験が盛り込まれているという。事実なのか、出版社の売り文句なのかはわからないけれど、そう言われてみれば、主人公たちは、作者自身が強く投影されてるように思う。『203号室』では、怪異から逃げ出す主人公の行動によく表れており、本作では、幽霊を信じるという主人公の死生観に顕著だ。
 本作で少し残念に感じるのは、事の発端となる肝試し、廃墟の描写がいやにあっさりしていること。たたりの恐ろしさが伝えるためにも、怖さを押しつけるくらいのしつこいさが欲しかった。

【サイト登録日】2008年10月1日 【ジャンル】山・自然・たたり・心霊

▽メモ1文庫書き下ろし

▽メモ2表記の間違い?(p144)

p144の「ファイル」は「フォルダ」の間違いでしょう。でないと続く文章「各々、百枚を超えている」につながらないです。

▽メモ3作者の心霊観を表す一文(p169)

「(現象について)それを精神の作用だと分析するのは、意味無い事だ。体験者にとってリアルなら、怪異もまた、現実の記憶として残るのだから」

▽メモ4スピリチュアルブームの見解(p18〜p19)

昨今のスピリチュアルブームに否定的な所見も興味深いです。「恐怖ばかりを強調しない世界観、ストーリーが主流になったのだ(p18)」「「心霊」と「スピリチュアル」の違いは、恐怖の欠如(p19)」