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『月の裏側』単行本表紙

『月の裏側』単行本表紙

『月の裏側』単行本帯-表面(初版バージョン)

『月の裏側』単行本帯-表面(初版)

『月の裏側』単行本帯-裏面(初版バージョン)

『月の裏側』単行本帯-裏面(初版)

『月の裏側』単行本帯-表面(初版/紙質が異なるバージョン)

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『月の裏側』単行本帯-裏面(初版/紙質が異なるバージョン)

『月の裏側』単行本帯-裏面(初版/紙質が異なるバージョン)

月の裏側

The Dark Side of The Moon,2000

作:恩田陸

Written by Riku Onda

長編

幻冬舎/本体1800円+税

単行本初版:2000年3月31日/総377ページ(43w×19L)

新書本初版:−

文庫本初版:2002年8月25日

盗まれた人々は人間もどきとして帰ってくる…
大いなる企みに翻弄される水郷の街を描く異色作

 福岡県箭納倉(やなくら)市。著名な文士を輩出し、水路が縦横に走る水郷の街としても知られている。
 大学時代の恩師、三隅協一カの思わせぶりな電話を受け、箭納倉市にやってきた塚崎多聞は、ここで起きている不可解な出来事を聞かされる。
 3人の老人が夜のあいだに行方不明となり、ある朝ひょっこり帰ってくる。その期間の記憶はないものの、ケガもなく、犯罪の証拠も見つからないため、警察も捜査を打ち切ったという。協一カの弟夫婦も数年前同じ目に遭っている。
 協一カは確信する。この街を巡る水路には、得たいの知れぬモノが潜み、人々をこっそりと「盗んで」いる。突拍子もない話に半信半疑の多聞だが、協一カの飼い猫、白雨がくわえてきた物を見て仰天する。精巧に作られた人間の耳だった。
 帰郷した協一カの娘、藍子、新聞記者の高安則久も加えて真相を探る4人だが、そのもくろみは察知されていた。ある朝、全市民が一斉に消失したのだ。

 侵略ホラーの1パターンである"なりすまし系"は、逃げ場が失われていく過程で恐怖を引き出す。用意周到かつナチュラルに主人公を追いつめていく必要があり、作者の構成力が丸わかりになる難しいジャンル。
 本作は、ユニークな着想で"なりすまし系"を再構築している。「盗まれた」人々の肉体は作り替えられ、無意識領域も侵されるが、自我は残されている。「盗まれた」ことを自覚しているが「実感がない」という意欲的な設定。
 無数の人間もどきが浮かぶ地下貯水槽、大勢の人が一斉に同じ挙動を取るなどの不気味なシーンもあるけど、悪意や害意がないので恐怖感は薄味。

【サイト登録日】2008年10月30日 【ジャンル】侵略・なりかわり

▽メモ1牽強付会(p193)

都合良く理屈をこじつけること。

▽メモ2正体?(p225)

正体は語られていませんが、飼い猫の白雨の視点から語られる一文に「太古からの生命体の一部が彼女の身体を構成しているのだから」とあります。

▽メモ3人間もどきを作る理由?(p245)

本編では、人間もどきを作る正確な理由も語られていないですが、記者高安に「便利な道具を発明して身体を使わない方向へとシフトしている人類が意識すらひとつにすることを求めているからでは?」という主旨のことを言わせています。

▽メモ4単行本の帯について

刷数によって帯の紙質が異なるようです(単行本3刷の帯はツルツルでした)

▽メモ5連載

月刊『ポンツーン』(幻冬舎)1998年10月創刊号〜1999年10月号連載後、加筆・修正して刊行。