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『殺人勤務医』文庫表紙

『殺人勤務医』文庫表紙

殺人勤務医

Satsujin Kinmui,2002

作:大石 圭

Written by Kei Ohishi

長編

角川書店(角川ホラー文庫)/本体619円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2002年3月10日/総302ページ(40w×18L)

道義的な問題を抱えた人々を拷問する男
生まれながらの殺人鬼による悪魔の所業を描く

 湘南の海を見おろす一軒家。地下室の牢屋。ベッドから身体を起こす美しい女性。そこへ現れた男が豪勢な中華料理を食べ始める。
 女は懇願する。「ああ、食べさせて、お願い」
 男はにべもなくいう。「あの日、あなたたちが食べ残した料理がここにあれば、1ヶ月は食べていけましたね」。
 古河リョウ。『湘南マタニティ・クリニック』に勤務する産婦人科医。堅物で知られる53歳の女性院長を恋人に持ち、堕胎専門の新棟責任者に抜擢されるなど、前途洋々たる人物だった。
 そんな彼にはもう1つの貌があった。自らの倫理観によって誘拐した男女を自宅地下室に監禁し、拷問して殺害する殺人鬼なのだ。
 スタンガン片手に拉致しては犯した罪に相応しい罰を与えていき、死ねば湘南の海に沈めて朽ちるに任せている。リョウの次なる標的は…。

 身も蓋もないけど大石版『SAW』。
 本作が怖いのは、何を言っても通じない自己中な殺人鬼の存在感。理知的に極論を述べてくるので、被害者は感情面から反論するしかない。
 さらには「僕は、たぶん医長を愛している(P239)」と描いてみせる。愛情について「たぶん」と述べる人間には何を言ってもムダでしょ、というわけ。作者の巧みな計算がそこら中にちりばめてあり、侮れない作品だ。その反面、主人公の造形やストーリーが『湘南人肉医』とよく似ている。大きな違いは食人か、拷問か。どちら1冊を採るならば独創的な『湘南人肉医』を選ぶ。

【サイト登録日】2009年5月6日 【ジャンル】殺人鬼・拷問・監禁

▽メモ1文庫書き下ろし

▽メモ2飼い犬の名前

ヤン(元の名前はブラッド。14番目の被害者の飼い犬)

▽メモ3母体保護法について(p68,p253)

母体保護法では、妊娠21週と6日目までは中絶でき、22週目の中絶は殺人罪となる(p68)。また、妊娠12週目以降の中絶は役所に死産届けを提出する義務がある(p253)。

▽メモ4被害者たち(殺害順)

(1)小宮武男(35/工員)…洗剤をまいて池のコイを殺した。監禁後、食事として乾物と合成洗剤入り水のみを与える。6日目に洗剤で中毒死。

(2〜3)登場せず。

(4)山崎弘之(41/公務員)…カエルの活作りを注文しておきながらもてあそんだだけ。焼酎を大量に呑ませて急性アルコール中毒死。名前のみ登場。

(5)トラック運転手(41/公務員)…エンジンをかけっぱなしで駐車。注意しても改めなかったため、地下室に排気ガスを充満させて窒息死。

(6〜8)登場せず。

(9)女性(27)…5人も堕胎した美人。風呂場で溺死。名前のみ登場。

(10)佐藤真由美(47/主婦)…水子供養を勧める宗教団体員。勧誘に訪れたところを拉致して扼殺。名前のみ登場。

(11)飯田良勝(55/コンビニ経営)…中高生に酒やタバコを販売。注意しても改めなかったため殺害。詳細は不明。名前のみ登場。

(12)ファッションモデル(?)…大量の中華料理を注文したものの箸すら付けず。監禁して餓死。

(13)宇津木亜由美(23/主婦)…4歳の娘沙弥加を夫と共謀して虐待。鞭打ち、電気ショックの後、風呂場で溺死。

(14)数学教師(38)…飼い犬を放置していたため、首つり寸前の状態で放置。縊死。

(15)麻生裕太(13)…義理の弟。少年の2階の部屋で扼殺して左手首切断。死体はリョウの自宅庭に埋葬。

(16)麻生令子(50)…リョウを捨てた母親。自分が受けた虐待(火の付いたタバコを押しつける)をするが、最後は描かれていない。

大石圭 大石 圭