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『瞽女の啼く家』文庫表紙

『瞽女の啼く家』文庫表紙

『瞽女の啼く家』文庫帯

『瞽女の啼く家』文庫帯(初版バージョン)

『瞽女の啼く家』単行本表紙

『瞽女の啼く家』単行本表紙

瞽女の啼く家

Goze No Naku Ie,2005

作:岩井志麻子

Written by Shimako Iwai

中編

集英社(集英社文庫)/本体429円+税

単行本初版:2005年10月xx日

新書本初版:−

文庫本初版:2008年10月25日/総194ページ(37w×13L)

盲目がゆえに感受できる異形の存在
底なしの業に囚われた2人の瞽女の運命

 時は明治、ところは岡山県和気藤村。
 分限者(裕福の意)の両親に与えられた屋敷で暮らす盲目の美女、すわ子。やがて盲目の女旅芸人「瞽女」たちが集まり、瞽女屋敷と呼ばれるようになる。
 瞽女たちから敬愛を受けるすわ子だが、牛の顔をした女性に詰め寄られる夢に連日うなされ、体調を崩してしまう。屋敷に住まう口寄せ老婆によると、悪いことを予言して死ぬ妖怪「くだん」ではないかという。身に覚えがない。そもそも盲目の自分が夢の中でははっきりと見えるのはなぜだ。
 他人の振る舞いによって吉凶をあてがう能力を持つ按摩のイク、死霊や化け物のたぐいを感知する能力に長けたイクの妹分お芳は、不穏な気配を察知していた。
 瞽女屋敷の前で拾われた孤児のお芳は、慕っているすわ子を心配でたまらないが、その原因がなぜか自らの出生に関係がある気がしてならない。
 すわ子とお芳、2人の人生が思いもしない方向に転がり始める。

 お得意の岡山ホラー。ホラーかどうかは微妙で、恋愛小説に近い。
 作者がホラー以外の小説でたびたび取り上げる「肉体で結ばれる愛の深さ」がテーマになっている。深いとは因果のこと。愛するとは、快楽を分かち合い、悲惨で、救済のない未来をも甘受すること。純粋な想いであり、身をゆだねるのは一種の自己陶酔だ。すわ子もそうした想いを抱き、支那(中国)の美少年に導かれるまま、大陸を目指す。この美少年の猟奇的な生い立ちも描かれており、すわ子が生き地獄を味わうことが容易に想像できる。理解しがたい業の深さ。そこが本書の怖さだと思う。

【サイト登録日】2009年7月18日 【ジャンル】

▽メモ1瞽女

(「御前(ごぜ)」から)三味線を弾き、唄を歌いなどして米や金銭を得た盲目の女。めくらごぜ。(広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店)

▽メモ2門付け

人家の門口に立ち、音曲を奏したり芸能を演じたりして金品を貰い歩くこと。また、その人。化他(けた)。(広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店)

▽メモ3忌小屋(p49)

生理期間中の女性を穢れとして閉じ込めた部屋。

▽メモ4連載

月刊『小説すばる』(2004年7月号、2004年10月号〜2005年3月号)連載後、加筆・修正して刊行。