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『チューイングボーン』文庫表紙

『チューイングボーン』文庫表紙

『チューイングボーン』文庫帯(初版)

『チューイングボーン文庫帯(初版)

チューイングボーン

Chewing Bone,2005

作:大山尚利

Written by Naotoshi Ohyama

長編

角川書店(角川ホラー文庫)/本体590円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2005年11月10日/総324ページ(40w×16L)

自殺者のビデオ撮影を通じて開かれる心の闇
日本ホラー小説大賞長編賞受賞作品

 居酒屋でアルバイトをしながら無気力な生活を送る原戸登は、大学の同期生だった嶋田里美から奇妙な依頼を受ける。
 指定日時のロマンスカーの展望車に乗り、走行中の様子をビデオカメラで撮影すること。なにがあっても撮影を止めてはいけない。
 しぶしぶ引き受けた登の乗り込んだロマンスカーの前に自殺者が…。
 2回続けて自殺者に遭遇した登は、これこそが撮影の目的であることを確信する。里美を問いただそうと決意した登だったが、展望席から見えたものは、通過駅から身を投げた里美本人だった。
 いったい誰が、何の目的で撮影させているのか。
 深まる疑問もさることながら、登の中に大きな欲求が芽生えつつあった。
 自殺者を撮影するのが待ち遠しい。母親の自殺にすら悲しみを覚えなかった自分は、なにかが欠格しているだろうか。

 選考委員の林真理子氏が「純文学系の新人賞に応募しても」と述べている。三人称ながら主人公の内省や思索で物語が進み、私小説の作風に近いためだ。
 本作が見事なのは文章力にある。主人公の感性が異常であり、同時に普遍の印象を与える。刺身とケーキを並べて違和感のない食卓を作る、という感じ。かなり難しいと思う。謎解きストーリーも興味深いけど、ホラーエンタメとしては盛り上がりに欠けている。主人公が孤独な性癖なので人間同士の広がりがなく、物語が止まっている感じ。一番おもしろかったシーンは、首謀者の手紙(p281〜p299)。異常と正常の線引きが逆転する構図がよい。

【サイト登録日】2009年9月11日 【ジャンル】サイコ 自殺

▽メモ1主人公のアルバイト先

居酒屋さくら屋(新宿南口方面)

▽メモ2自殺者たち(登場順)

(1)線路に横向きにうずくまる。性別不明(10月5日(月)9時20分ロマンスカー片瀬江ノ島発)

(2)子供を後ろ向きに抱きかかえた女性。子供は助かる(10月16日(金)9時20分ロマンスカー片瀬江ノ島発)

(3)線路に立つ白い服を着た女性、もしくは男性(10月27日(火)9時20分ロマンスカー片瀬江ノ島発)

(4)通過駅から飛び込んだ嶋田里美。予定外(10月27日(火)9時20分ロマンスカー片瀬江ノ島発)

(5)紫色のドレスを着た太った女性。衝突の直前まで歌っていた(11月10日(火)15時58分中央線高尾発東京行き)

(6)張(アルバイト仲間の中国人)に頼んだため、詳細不明(11月24日(火)15時58分中央線高尾発東京行き)