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『レフトハンド』単行本表紙

『レフトハンド』単行本表紙(初版)

『レフトハンド』単行本帯-表(初版)

『レフトハンド』単行本帯-表(初版)

『レフトハンド』単行本帯-裏(初版)

『レフトハンド』単行本帯-裏(初版)

レフトハンド

Left Hand,1997

作:中井拓志

Written by Takushi Nakai

長編

角川書店/本体1,500円+税

単行本初版:1997年6月30日/総325ページ(25w×21L×2段)

新書本初版:−

文庫本初版:1998年12月10日

致死率90%を超える殺人ウィルス「LHV」の脅威
第4回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作品

 大企業テルンジャパンの埼玉総合開発研究所三号棟でウィルスが漏洩した。
「LHV(レフトハンドウィルス)」。体液や空気によって感染した人間は、左腕だけが変化して身体から抜け落ちる。左腕には複眼の眼、強力な握力と触手を備え、人間を襲って肉を食らうという。
「カクテル」なる抗生物質の接種で生き延びた主任研究員の影山ほか数名は、LHVを脅迫の材料として三号棟を占拠。要求に応じたテルンジャパンは、アルバイト採用した2名の民間人を研究の被験者として三号棟に送り込む。
 厚生省の学術研究員として派遣された津川正太郎は、LHVの資料を読んで胸を躍らせる。あそこで起こっていることは奇跡だ。カンブリアの逆襲なのだ。
 カンブリア紀。生命のスープと呼ばれた海で、奇妙な姿や生態の生命体が爆発的に誕生した時代。LHVは、人間のDNAに眠るカンブリアを呼び覚ましたのだ。
 自衛隊の監視下、完全隔離された三号棟に入った津川が目にしたものとは…。

 既存の化学・科学知識に"もし"を加え、緊迫感あふれる恐怖を描く。これがバイオホラーの真骨頂だし、読みどころなんだろうね。執筆もたいへんな労力が必要だと思う。でも、本書ではやりすぎている気がする。LHVの性質や作用に関する説明文がダラダラと、しかも繰り返し描かれている。また、左腕の描写から映画『エイリアン』のフェイスハガーの影響が強く感じられる。
 登場人物はみな幼稚で投げやり。なにかと言えば「ハカめ」「バカが」と芸のないセリフを吐く。感染した左腕のグロテスクな活躍シーンが唯一の救い。サービス精神に溢れる作者の気質は好きなので、別の作品を読んでみたい。

【サイト登録日】2010年1月19日 【ジャンル】バイオ ウィルス 狂科学 モンスター

▽メモ1第4回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作品に加筆・訂正して刊行。

▽メモ2カンブリア紀

詳細は国立科学博物館をお読みください。

▽メモ3LHVの発症(p56〜p57)

[1]左腕にウロコ状の裂け目によって発症を判断する。

[2]発症4〜5日目で下痢、発汗、左腕が腫れ上がる。

[3]大量の分泌物で左腕が殻になる。『蛹』。

[4]25時間程度の昏睡状態におちいる。苦痛が消える。

[5]目覚めると錯乱状態になり、猛烈な痒みに襲われる。

[6]殻が割れて左腕が離脱。感染者は死亡。『脱皮』

▽メモ4左腕の様子(p91〜p96)

 普通の左腕より一回りから二回り程度太く、全長は1メートル前後。親指が屈折して後ろ足のようになる。爪は鋭く、複眼を持ち、甲羅状の聴覚、筋肉の脳、海綿状の肺、袋状で肛門がない消化器官。口と思われる部位に生える触手で肉を食べる。音に反応して光を避ける性質。