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『庵堂三兄弟の聖職』単行本表紙(初版バージョン)

『庵堂三兄弟の聖職』単行本表紙(初版バージョン)

『庵堂三兄弟の聖職』単行本帯-表面(初版バージョン)

『庵堂三兄弟の聖職』単行本帯-表面(初版バージョン)

『庵堂三兄弟の聖職』単行本帯-裏面(初版バージョン)

『庵堂三兄弟の聖職』単行本帯-裏面(初版バージョン)

庵堂三兄弟の聖職

Andosankyoudai no Seisyoku,2008

作:真藤順丈

Written by Junjo Shindo

長編

角川書店/本体1,500円+税

単行本初版:2008年10月31日/総319ページ(40w×17L)

新書本初版:−

文庫本初版:2010年8月25日

遺体から物を作り出す遺工師の三兄弟が歩む人生
第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞作

 庵堂家の長男、正太郎は遺体の横で目を覚ました。ついうっかり居眠りをしてしまった、と独りごちる。千葉県茂原市長柄町の田んぼに囲まれた自宅にて粗暴の問題児、三男の穀巳(タケミ)と同居する正太郎は遺工師だった。遺体の骨や皮を使って遺族が望む遺工品(櫛、皿、茶碗、箸、鞄、石鹸…)を作る職人なのだ。
 名遺工師だった父、明雄の七回忌を2週間後に控え、東京から次男の久就(ヒサノリ)が帰省する。数年ぶりに揃う三兄弟。正太郎は気分を浮き立たせる。
 三兄弟が幼かった頃から何かを世話を焼き、現在では遺族との交渉や遺体の手配を秘密裏に行う葬儀屋の四万木から緊急の連絡が入る。関東有数の武闘派暴力団として知られた豊島興産の美濃田会長じきじきの発注があったのだ。
 その仕事とは、交通事故死した9歳の一人娘をはく製にしてほしい、というものだ。妻の不安定な精神を鎮めるためにどうしても必要なのだ。
 損傷が激しい少女の遺体を前に遺工師の正太郎が下した決断とは…。

 本作が大賞受賞を果たしたのは、「死体から遺品を作る」という突飛な着眼点を評価されたのではないか。どのような公募賞であっても、既存の作家にはない視点を示すことは大きなアピールになる。本作はそれを示している。
 遺体の解体シーンがたびたび登場するけれど、主人公が敬意をもって接しているために怖さやグロさは薄い。劇的な出来事も起こらない。地味な作品だ。
 著者の文体(言葉の選び方、リズム)は苦手だけど、少女の剥製を作る過程で訪れた閃きの狂乱(p178〜p184)というべきシーンは迫力がある。

【サイト登録日】2012年1月30日 【ジャンル】死体 遺体 解体 兄弟

▽メモ1第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞。

▽メモ2巻末に選評掲載。

▽メモ3汚言症(p86など)

 トゥーレット症候群に見られる音声チックの症状。罵倒や卑猥な言葉を突発的に言ってしまう。
 チック【tic】…顔・頸・肩などの筋のリズミカルな不随意的収縮を反復する症状。例えば、まばたき・舌つづみ・うなずき・拍手などをくりかえす。錐体外路系の障害時に現れるが、心因的なものもある。(広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店)

▽メモ4エド・ゲインの影響あり?

 1950年代のアメリカを震撼させた連続猟奇殺人鬼エド・ゲイン。墓荒らし、または殺人で手に入れた死体を解体し、ランプシェードや服、靴などをこしらえていた。
 ちなみにエド・ゲインは、故ロバート・ブロックの長編小説『サイコ(Psycho,1959)』の異常殺人者ノーマン・ベイツのモデルです。