全作品リスト

書名:短編集

書名:長編

書名:掌編集/実話怪談

書名:ホラー関連書

作家リスト

シリーズリスト

特集ページ

サイトトップへ戻る

本サイトについて

更新履歴

累計:

今日:

昨日:

『粘膜兄弟』文庫表紙(初版バージョン)

『粘膜兄弟』文庫表紙(初版バージョン)

『粘膜兄弟』文庫帯(初版バージョン)

『粘膜兄弟』文庫帯(初版バージョン)

粘膜兄弟

Andosankyoudai no Seisyoku,2008

作:飴村 行

Written by Ko Amemura

長編

角川書店(角川ホラー文庫)/本体743円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2010年5月25日/総476ページ(40w×18L)

愛を知り、憎しみを知った双子が織りなす成長物語
軍国主義の仮想昭和を舞台にしたシリーズ第3弾

[第壱章双性妄獣]…フグリ豚の飼育で生計を立てる22歳の双子、須川磨太吉と矢太吉。兄弟に忠義を尽くすが、フグリ豚との交尾が生き甲斐の下男ヘモやん。
 兄弟の関心事は、街のカフェー『タイガア』に勤める美人女給ゆず子だったが、袖にされる毎日だった。そんなゆず子が極道者に襲われたとき、磨太吉は捨て身で救出する。それが縁となって2人は相思相愛の仲となる。
[第弐章灼熱戦線]…赤紙を受け、南国のナムールへ出兵する兄弟。潜水艦の攻撃を受けて輸送船は沈没。からくも生き延びたが、任地では横暴な上官に目を付けられ、非道な仕打ちを受ける。反日ゲリラ奇襲の混乱に紛れて敵前逃亡した兄弟だったが、森では巨大蠍に襲われ、ついには反日ゲリラ一味に捕まってしまう。
[第参章憤激亡者]…偽名を使って帰国した兄弟。晴れてゆず子と結婚する磨太吉だったが、2人の関係を初めて知った矢太吉は大きなショックを受ける。兄弟間の緊張が高まる中、ついに矢太吉の暴走が始まる。

 明快な文章、ブっとんだ登場人物、猥雑な台詞など、飴村節というべき奇矯さは健在なので、その意味ではたいへん満足した。
 一方で物語の中に軟弱さが読み取れる。傲岸不遜な雷太(『粘膜人間』)、横暴な雪麻呂(『粘膜蜥蜴』)のような唯我独尊の人物がいない。本作の双子も粗野な性格だけど、その行動は世の営みの枠から絶対に外れない。
 一番気になったのが、構成のバランスの悪さ。ナムールでの戦場話がおざなりで、どーでもいい人物(とくにポン太ね)のエピソードにページを割いている。こういうのを読みたいんじゃない、とストレスを覚えた。

【サイト登録日】2010年6月15日 【ジャンル】残酷 戦争 仮想 昭和 兄弟 双子

▽メモ1文庫書き下ろし

▽メモ2シリーズキーワード:ルミン・シルタ(p6)

 南国の戦地ナムールを根城にする抗日ゲリラ。『粘膜蜥蜴』で登場。

▽メモ3シリーズキーワード:吉太郎神社(p129)

『粘膜人間』に登場する神様キチタロウを祀っている。

▽メモ4シリーズキーワード3:ナムール(p138)

『粘膜蜥蜴』に登場する南方の激戦地。爬虫人(ヘルビノ)の故郷。

▽メモ5シリーズキーワード4:院長の子供(p189)

爬虫人を下男として使っている、という双子の会話中に登場。『粘膜蜥蜴』の主人公、雪麻呂のこと。

▽メモ6シリーズキーワード5:徳一(p429)

ヘモやんがババ抜きを教えてくれた友人の名として挙げる。『粘膜蜥蜴』の病院地下に済む屍姦愛好家の老人。

▽メモ7フグリ豚(p12〜p14)

 南東北地方の一部の山間部にのみ生息する珍しい豚。オスの睾丸はカボチャ大でたいへんな美味。メスは繁殖用として飼育されている。メスは季節毎に発情して3ヶ月で6頭、年24頭を産み落とす。とくに関東地方では希少価値があり、高値で取引される。