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『ISOLA 十三番目の人格』単行本表紙(初版)

『ISOLA 十三番目の人格』単行本表紙(初版)

『ISOLA 十三番目の人格』単行本帯-表(映画公開版)

『ISOLA 十三番目の人格』単行本帯-表(映画公開版)

『ISOLA 十三番目の人格』単行本帯-裏(映画公開版)

『ISOLA 十三番目の人格』単行本帯-裏(映画公開版)

ISOLA 十三番目の人格

Isola,1996

作:貴志祐介

Written by Yusuke Kishi

長編

角川書店/本体1,500円+税

単行本初版:1999年12月25日/総319ページ

新書本初版:−

文庫本初版:1996年4月25日(文庫先行発売)

少女が宿した13番目の人格は悪の化身か?
第3回日本ホラー小説大賞佳作のデビュー作

 大震災直後の神戸。東京から来たボランティアの加茂由香里は、震災者の心のケアに取り組んでいた。彼女は他人の強い感情を波動として感じ取る超能力者エンパス(Empath)で、これまでの辛い経験から能力をひた隠しにして生きてきた。
 そんなとき、多重人格者である女子高生の森谷千尋と出会う。
 高校の臨床心理士、野村浩子から助力を請われた由香里は、千尋との面談(セッション)に同席するのだが、震災で生まれた13番目の人格は依然として謎に包まれていた。人格の名はイソラ。「雨月物語」の「吉備津の釜」に登場する磯良のことだろうか。生霊となって夫と愛人を呪い殺した業の女。
 やがて、千尋を性的虐待していた義父、体罰を加えた体育教師、意地悪な同級生たちが立て続けに死亡し、学校はパニックに陥る。
 精神病理学の見地から体外離脱現象を研究していた大学助教授の真部と恋仲になった由香里は、イソラの謎を解明するべく調査を進めるのだが…。

 性急に過ぎていてガチャガチャと展開し、物語に没頭するのが難しかった。
 超能力、多重人格、体外離脱の生霊、とサービス満点なのはよいけれど、全部が中途半端とはいかがなものか。ところどころで説明文の塊が挿入され、心理学用語の羅列も未消化という印象を強めるばかり。取って付けたような恋愛劇は蛇足の域を出ておらず、そもそも主人公に女性的な魅力が乏しい。
 しかし、たった1年後にホラー小説大賞受賞作『黒い家』を物した著者の才能、努力、向上心はお見事。世の中には作家になるべくして生まれた人がいるのかもしれない。その才能に目を留めたホラー小説大賞の審査員も立派だ。

【サイト登録日】2010年10月25日 【ジャンル】超能力 体外離脱 生霊 狂科学 マッドサイエンス

▽メモ1第3回日本ホラー小説大賞佳作

▽メモ2文庫が先発、単行本が後発で改題

 文庫本が先行し、3年遅れて単行本が発刊されました。単行本化にあたり、加筆と修正、改題が行われています。普通とは真逆のパターンですね。
 改題ですが、ホラー小説大賞応募時、文庫発刊時は『十三番目の人格 -ISOLA-』。単行本では『ISOLA 十三番目の人格』。本サイトでは改題に従います。

▽メモ3能力を阻害する薬(p25)

塩酸クロルプマジン(小林化工株式会社)を服用するとエンパスの能力を阻害され、精神的負担が減る。

▽メモ4人格の名前と性質(p25など)

 1.千尋…女性。元々の人格で引っ込み思案。17歳。普段はほとんど表に出てこない。IQ120

 2.瞭子…女性。20歳前後で大人の人格。聡明だが冷たい印象。IQ175

 3.陶子…女性。外向的で明るいが押しつけがましいところがある。IQ145

 4.瞳…女性。6歳くらいの少女。両親が事故死したときの年齢か。IQ55以下

 5.幸生…男性。14歳くらい。無気力で投げやりな口調。IQ104以下

 6.陽子…女性。17歳くらい。嘘つき。IQ129。

 7.殊里…女性。年齢不明。殺意を秘めており、表情がとぼしい。IQ89?

 8.忍…男性。年齢不明。虐待を一手に引き受けた人格。IQ95〜107

 9.創…男性。12歳。無口でうつろな目。IQ116

 10.悠子…女性。大部分の時間を過ごすホスト人格。無口。IQ125

 11.満…男性。人を小馬鹿にしたような口調。IQ133

 12.範子…女性。叔父の飼い犬ペスを殺すために生まれた人格。IQ不明

 13.イソラ…女性。誕生は1月23日(震災の一週間後)。その正体は体外離脱の実験中震災に遭って肉体を失った研究者の高野弥生が憑依した人格。夜に限って体外離脱をして邪魔者を殺して回る。IQ不明

 14.憧子…女性。磯良の後継人格で本編の最後に名前だけ登場。殺人のための人格で、体外離脱ができる模様。IQ不明

▽メモ5ISOLA・イソラ・磯良の意味(p229〜p242)

 ISOLAとは、アイソーレション・タンク(Isolation Tank)のこと。1週間におよぶ体外離脱で記憶を失いつつあった高野弥生の精神体が覚えていた英単語の先頭部分だけが、偶然「イソラ」と読めた。由香里と浩子は先入観から「磯良」に結びつけた。Isolation Tank - Google 検索

▽メモ6ISOLAの容姿(p283)

 無数の手足を持ち、耳まで裂けた口には針のような牙が生やした黒髪の女性。

▽メモ7ティモシー・リアリーのこと(p220〜p221)

 LSDを使った体外離脱実験の描写において、ティモシー・リアリーを例に挙げて「頭のネジのゆるんだ男。LSDでインスタントな悟りを開き、ついにはアシッド・ヘッドとして廃人同様の状態になった」と記しています。
ティモシー・リアリー - Wikipedia