全作品リスト

書名:短編集

書名:長編

書名:掌編集/実話怪談

書名:ホラー関連書

作家リスト

シリーズリスト

特集ページ

サイトトップへ戻る

本サイトについて

更新履歴

累計:

今日:

昨日:

『ラブ@メール』文庫表紙(初版)

『ラブ@メール』文庫表紙(初版)

『ラブ@メール』文庫帯-表(初版)

『ラブ@メール』文庫帯-表(初版)

『ラブ@メール』文庫帯-裏(初版)

『ラブ@メール』文庫帯-裏(初版)

ラブ@メール

Love at Mail,2010

作:黒 史郎

Written by Kuro Shirou

長編

光文社(光文社文庫)/本体571円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2010年3月20日/総309ページ(40w×16L)

愛という感情を産み出してきた寄生虫の反乱
人類滅亡と新世界創世を描いた新感覚ゾンビ小説

 7月7日。世界中の恋人たちが、夫婦が、激しいセックスの末に悶死する出来事が発生する。
 自衛隊輸送科の大熊は、演習地への途上で隊員たちが突然喚き、狂乱するさまを見て慄然とする。命からがら逃げ出したものの、街からは黒煙が立ち上り、抱き合ったまま息絶える男女の死体があちらこちらに散乱するありさまだった。
 成り行きで行動を共にする20歳の若者裕也、妊婦の唯と出会った大熊は、奇声を上げながら走り回るゾンビたちを振り切り、無事に裕也の実家である東京中野まで到着する。大熊はその足で友人の研究者、二見を訪ねて行く。
 厳重管理の施設で独り研究に没頭する二見は語り始める。
 人類誕生より愛という感情を産み出していた寄生虫が反乱を起こした。人生でもっとも尊いとされてきた愛情が、人間の生命を奪う悪しき行為となった。
 しかし、愛を知らぬ者、求めぬ者は発症しない。君や僕のように…。

 愛が人類を滅亡へ導く、という発想に感心した。さらには滅亡そのものを結末とせず、寄生虫なき人間が愛を産み出すことは可能か、という人類の行く末を俯瞰するところに着地したあたりも冴えている。この大惨事であってもライフラインが止まっていない(誰かが管理してるってことでしょ)ことを描き、愛に無頓着な人間がいかに多いか、と揶揄してる点もよろしい。
 一方で類型的すぎる登場人物には「またオマエらか」的なマンネリ感が強く、経済復興の立役者となった「リンク都市開発計画(p114)」なるエピソードも説得力ゼロ。全体的にのんびりムードで絶望感が薄味なところは残念。

【サイト登録日】2010年7月7日 【ジャンル】終末 滅亡 ゾンビ 寄生虫 セックス

▽メモ1文庫書き下ろし

▽メモ2発症者

 すべての人間が血中に有している寄生虫が原因。寄生虫が発する愛情の念を処理できない者(神経伝達の異常?)は発症しない。

(1)目がうつろになり、意味不明の奇声を上げる(p14)

(2)銀杏のような異臭を放つ(p41)

(3)つがいとなる相手を求めて走り回り、怪力を発揮する(p28)

▽メモ3寄生虫が暴走した理由

「さぁ、人間で考えてみたまえよ。きっと同じ理由だよ(p133)」とボカされています。愛憎ってことでしょうか。愛するがゆえに愛想が尽きた、みたいな。

▽メモ4災禍の呼び名

「ヴァルプルギスナハト(ドイツ)」、「馬鹿げた愛の祝日期間(アメリカ)」

▽メモ5リンク都市開発計画(p114)

「品川区内のすべての企業を太いパイプで繋ぎ、〜世界最大の利殖都市として急成長した。品川が倒れれば日本が倒れるとまで言われた」

 コングロマリットの一種? そもそも物語とは一切関係がなく唐突に語られます。企業同士が固く結ばれた状態は愛に通じるものがある、というたとえなのでしょうか? ひょっとしたら著者は品川区民なのかな。郷土愛。

 コングロマリット【conglomerate】
(集合体の意)相互に関連のない異業種企業を合併などにより吸収して、複数の種類の事業を多角経営する大企業。複合企業。「広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店」