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『クリムゾンの迷宮』文庫表紙(4刷版)

『クリムゾンの迷宮』文庫表紙(4刷版)

クリムゾンの迷宮

Crimson Labyrinth,1999

作:貴志祐介

Written by Yusuke Kishi

長編

角川書店/本体640円+税

単行本初版:2003年2月xx日

新書本初版:−

文庫本初版:1999年4月10日/総393ページ(40w×18L)

深紅の荒れ地で繰り広げられる血みどろの死闘
疑心暗鬼と殺戮に満ちたサバイバルホラー

 雨音で目覚めた藤木は、眼前に広がる景色に度肝を抜かれる。赤と白の縞模様の岩山に囲まれた荒れ地。ここはどこだ。オレはアパートにいたはずだ。
 傍らにあるのは水筒、食料、携帯型ゲーム機。スイッチを入れるとウサギのキャラクターが表示される。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された。ゴールを迎えた者には約束の賞金と地球への帰還が許される」
 同じ境遇の女性、大友藍を伴って指定ポイントに着いた藤木は、7人の男女と合流する。全員が記憶の一部を喪失しており、人生の落伍者という共通点を持つ。
 各人が持つゲーム機のメッセージを総合すると、逃亡が死を意味するサバイバルゲームであり、7つのチェックポイントをクリアした者だけが日本に帰れる。
 藤木は察した。ゼロサムゲームだ。生き残るのは1人だけ。このふざけたゲームを仕組んだヤツは、おれたちに殺し合いをさせるつもりなのだ。
 薬物混入の食料で食屍鬼と化した楢本と鶴見が参加者たちに牙をむく。

 火星のごとき荒野に登場人物たちをポンと放り出し、途中で緩むことなく、結末まで一気に走りきる手腕はさすが。この手のサバイバルホラーで9名の登場人物はやや多い部類に入るけれど、誰かが忘れ去られることなく、きちんと作中で存在感を示している点もよい。
 手放しで褒められない点もある。登場人物たちの位置関係が判りづらい。もう少し情景描写に筆を使えば解決したと思う。ラストの種明かしも空疎だ。スナッフビデオに結びつけたことで、物語の現実感や説得力が台無しになった。
 小説の完成度としては、前作『天使の囀り』のほうが上のように感じた。

【サイト登録日】2010年11月6日 【ジャンル】カニバリズム 人食い 残酷 サバイバル 殺戮 殺し合い

▽メモ1単行本はコレクターズ版として発売

ISOLA 十三番目の人格』と同様に文庫本が先発、単行本が後発という発売順。単行本はコレクターズアイテムという位置づけ。

▽メモ2ゼロサムゲーム(ゼロ和ゲーム)

ゼロサムゲームとは -金融・経済用語辞典

▽メモ3ゲーム参加者(選択ルート順)

東ルート(サバイバルアイテム入手を選択)

野呂田栄介…42歳。先物取引会社の元セールスマンを自称。

加藤高道…51歳。元中学校教師。最年長。常識的な人物。

西グループ(護身用アイテム入手を選択)

船岡茂…30代前半。会社の金を着服。横柄で狡猾な印象。

妹尾純一…31歳。身長2mほどの巨漢。多重債務者。

南グループ(食料アイテム入手を選択)

楢本真樹…29歳。フリーター。能面の印象を与える無表情な若者。

鶴見克哉…中年。出稼ぎ労働者。屈強な体つき。無口で無愛想。

安部芙美子…40代後半。経歴不明。離婚経験あり。ヒステリック。

北ルート(情報アイテム入手を選択)

藤木芳彦…40歳。倒産した大手証券マン。三行半で離婚。現在は失業者。

大友藍…30歳。自称エロ漫画家。身長171cm。聡明。補聴器をしている。

▽メモ4死亡者(死亡順)

1.安部…凶悪化した楢本と鶴見に殺害されて喰われる。

2.加藤…鶴見に槍で突き殺されて喰われる。

3.妹尾一…船岡に裏切られ、楢本と鶴見の手で殺害後に喰われる。

4.船岡…楢本と鶴見に殺害されて喰われる。

5.野呂田…組織の回し者。ゲームをコントロールする役目を負っていたが、楢本にボウガンで撃ち殺され、喰われる。

6.鶴見…藤木に襲いかかるが、トラップの槍で喉を射貫かれて死亡。

7.楢本…洞窟で猛毒蛇タイパンに全身を噛まれて死亡。

藤木…唯一の生存者。タイパンに噛まれるが血清を打たれて無事帰国。賞金500万円を獲得するが、真相の究明を心に誓う。

藍…行方不明。組織の回し者。義眼カメラでゲームを録画していた。藤木を助けた張本人だと思われる。

▽メモ5食屍鬼(グール)の容貌(p297)

 飽食のために血色は良い。眼球は突出し、瞬きをしない。頭にはフジツボのような吹き出物でビッシリと覆われている。