全作品リスト

書名:短編集

書名:長編

書名:掌編集/実話怪談

書名:ホラー関連書

作家リスト

シリーズリスト

特集ページ

サイトトップへ戻る

本サイトについて

更新履歴

累計:

今日:

昨日:

『お初の繭』単行本表紙(初版)

『お初の繭』単行本表紙(初版)

『お初の繭』単行本帯-表面(初版)

『お初の繭』単行本帯-表面(初版)

『お初の繭』単行本帯-裏面(初版)

『お初の繭』単行本帯-裏面(初版)

お初の繭

Ohatsu no Mayu,2010

作:一路晃司

Written by Koji Ichiro

長編

角川書店/本体1,400円+税

単行本初版:2010年10月31日/総285ページ(41w×18L)

新書本初版:−

文庫本初版:−

悲惨な運命に翻弄される哀れな少女たち…
第17回(2010)日本ホラー小説大賞受賞作

 赤貧を洗う無間之国産子村。義務教育を終えた12歳のお初、お清、お咲、お静は、工女として製糸会社へ奉公に出発した。3年の年季を開け、模範工女として故郷に錦を飾ることが少女たちの夢だった。
 他の村々から合流した同い年の少女たちとともに郷里から遠く離れた瓜生(ふりいく)製糸会社に到着するや、養蚕部長の蛾治助に前で全裸となり、全身くまなく調べられる屈辱に涙する少女たち。最高級の絹糸『おぼこ糸』は山繭蛾という特殊な蚕が作る。飼育できるのは月の物で穢れていない女性だけ、という。
 検査の結果、お初、お清、お咲ほか52名は養蚕部に留まり、月の物が始まっていたお静ら6人は製糸部へ回される。
 養蚕部の少女たちは日々の入浴、栄養満点の食事、正娘丸なる丸薬を飲むこと以外、清潔な宿舎で日がな一日のんびりと過ごすばかり。夏繭作りが始まれば、食事のヒマもないくらい忙しくなる、というのだが…。

 公式サイトのFlashムービーや、帯にある「じわりじわりと犯される」から淫靡なお話を想像してたけど、実際は鬼畜と変態の金儲けショーだった。
 選考委員の林真理子が「作者はかなり危険なところに近づいている気がする」と唾棄した第15回長編賞『粘膜人間』よりも、本作のほうがよほど鬼畜で変態。とくに生理前の少女たちを主役に据えたイヤらしさは相当に悪辣だ。
 文章はお上手だし、4人の少女たちの描き分けも巧みだけど、彼女たちを製糸工場へ送り出した元凶の「貧困」にはほとんど触れられていないため、どうにも切迫感が伝わってこない。著者の狙いなのかもしれないけれど。

【サイト登録日】2011年2月11日 【ジャンル】虫 変態 変身 明治

▽メモ1第17回日本ホラー小説大賞大賞受賞

▽メモ2人着ぬ袖(p7)

 ひときぬつむぎ。工女が亡くなったときに見舞金と一緒に家族へ贈られる紬。村の地蔵に着せて供養とする。本来の意味は『人絹袖』。

▽メモ3おぼこ糸(p8)

 雨上がりの虹のような光彩を放つ極上品の糸。擦り合わせたときのキュキュッという音が幼い娘の笑い声に似ていることから名付けられた。

▽メモ4おぼこ

 (ウブコ(産子)の転か)(1)まだ世間のことをよく知らず、世なれていないこと。また、その人。運歩色葉集「小児、ヲボコ」。「―息子」 (2)ういういしい娘。きむすめ。(3)ボラの幼魚。(物類称呼)→おぼこ‐むすめ【おぼこ娘】(『広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店』)

▽メモ5産子村の4人

 お初…おてんば。評価は甲種一等。4姉妹の長女。妹はお美津(11)、富子(10)、スエ(9)。

 お清…コマネズミのように小柄。恥ずかしがり屋。評価は甲種三等。

 お咲…ぽっちゃりの大柄。食い気と色気は人一倍。評価は甲種二等。

 お静…母子暮らし。落ち着きと芯の強さを持つ。評価は乙種一等。初潮を迎えていたために製糸部に配属。