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『スイート・リトル・ベイビー』文庫本表紙(初版)

『スイート・リトル・ベイビー』文庫本表紙(初版)

スイート・リトル・ベイビー

Sweet Little Baby,1999

作:牧野 修

Written by Osamu Makino

長編

角川書店/本体533円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:1999年12月10日/総333ページ(40w×17L)

幼児虐待は人類繁栄の必然だというのか…
第6回(1999)日本ホラー小説大賞長編賞佳作

 地域の児童虐待問題に奔走する保健婦の丸山秋生は、10年以上前に事故で息子を失っていた。育児疲れで精神的に追い詰められていた自分は、1歳にも満たない我が子がマンションのベランダから墜落するさまを見たとき、悲痛な思いと同じくらい解放の喜びを味わったのではないか。それは答えの出ない問いだった。
 保健婦のかたわら、電話相談ボランティアにも参加している秋生は、被虐待者だった斉藤則子から連絡を受ける。夫の様子がおかしい。興信所に調べさせたら、マンションを借りて誰かと住んでいるようだ。精神的にもろい則子が再び虐待に走ることを危惧した秋生は、真相をたしかめるべくマンションへ向かう。
 子供のオモチャ、食べかけのお菓子、甘ったるい異臭が漂う室内。ふと笑い声を耳にした秋生が押し入れを開けると、外れた天板の暗がりからぷっくりと太った指が見え、楽しげな赤子の笑い声が響き渡った。
 あまりの恐怖に裸足で逃げ出した秋生。あれはいったいなんなのだ。

 第1回日本ホラー小説大賞佳作『』と同じ感銘を受けた。要するに佳作の冠がなくても出版に耐えうるレベルを持ってる。よどみのない筆運びもお見事。
 女性でもないし、子供を持った経験もないけど、幼児虐待に向かわせる母親の心情描写には説得力があり、それだけでも恐ろしい思いを味わった。
 一方で天使の存在は、いまひとつピンとこない。天使の繁殖で大勢の男女が社会から消え去り、やがて地上には成体天使とサイコパスのような非情な人類しか残らない。本作の行き着く先は人類の終末、と解釈したんだけど、それにしてはのんびりムードで切迫感が足りないように感じた。

【サイト登録日】2011年2月17日 【ジャンル】虐待 侵略 終末 モンスター 都市伝説

▽メモ1第6回(1999)日本ホラー小説大賞佳作

▽メモ2著者はベテラン

 公式サイトを読む限り、執筆キャリアが長いのですね。書き慣れている印象を受けたのも納得です。

▽メモ3アカンボさん(p255〜p256)

 著者が創作した都市伝説。1歳にも満たない赤子が立ち上がってごみ箱をのぞき込み、パトロール中の警官に向かって「何か用?」

▽メモ4天使(p277〜p295)

 登場人物の辻村が推測として語っています。

(1)人類とは異なる生物。太古より存在している人類の天敵である。

(2)ある種のフェロモンを分泌して人間の保護欲を刺激する。

(3)幼体同士でセックスをして繁殖する。

(4)保護者の死期を悟ると成体に変態する。

(5)成体の知能は5〜6歳児程度。言葉は話せないが、高い身体能力を持つ。

(6)なぜ今頃繁殖を始めたのかは不明。

(7)サイコパスのような先天性虐待者はフェロモンの作用を受けない。ゆえにサイコパスは人類存続に欠かせない必然的存在である。