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『レテの支流』文庫本表紙(初版)

『レテの支流』文庫本表紙(初版)

レテの支流

Lethe No Siryu,2004

作:早瀬 乱

Written by Ran Hayase

長編

角川書店/本体705円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2004年11月10日/総425ページ(39w×19L)

記憶の改ざんに端を発する地球規模の危機
第11回(2004)日本ホラー小説大賞長編賞佳作

 7年前にブレイクしたバンド「レテ」。人気の凋落と事業の失敗でショウビズ界からドロップアウトした元ボーカルの館岡怜治も32歳となり、生まれ故郷のS市で不動産仲介業をしながら、食うや食わずの生活を送っていた。
 新しい人生の障害となっているのは、レテが人気絶頂だった2年間の記憶だ。怜治はS大学で脳生理学研究をしている友人の山村を頼り、研究中の記憶消去実験を受ける。実験は成功し、心の平安を得た怜治は心機一転を図るのだった。
 記憶消去から2ヶ月が過ぎたある日の午後。怜治は、同級生だった小川悟が妻や息子たちと歩いていくさまを目撃する。その脳裏に思いがけぬ記憶が浮かび上がる。小川は高校2年のときに校舎屋上から投身自殺したはずだ。
 小川の出現がきっかけとなり、かつての同級生たちが相次いで不慮の事故死を遂げていく。
 それは世界の有り様を根底から覆す現象の前触れにすぎなかったのだ。

 丁寧に言葉をつむいでいるさまには好感を覚えるけど、物語が本来持っているであろう躍動感を打ち消している。展開ものろくさしており、間延びしている。登場人物たちがあれやこれやと奔走するけれど、記憶に関する理屈ばかりが先立ち、焦りや事の重大さが伝わってこない。
 一番気になったのが、恐怖と恐怖の間隔が離れすぎているために緊張感が欠如している点。恐怖を描いてこそのホラーでしょ(恐怖の質については議論百出だろうけど)。本作の核となる「不条理な恐怖」にもっともっと筆を割き、情感をこめるべきだった。アイデアは良いだけに残念だ。

【サイト登録日】2011年2月19日 【ジャンル】記憶 死者 復活 地震 平行宇宙

▽メモ1第11回日本ホラー小説大賞佳作