全作品リスト

書名:短編集

書名:長編

書名:掌編集/実話怪談

書名:ホラー関連書

作家リスト

シリーズリスト

特集ページ

サイトトップへ戻る

本サイトについて

更新履歴

累計:

今日:

昨日:

『バイロケーション』文庫本表紙(初版)

『バイロケーション』文庫本表紙(初版)

『バイロケーション』文庫帯-表(初版)

『バイロケーション』文庫帯-表(初版)

バイロケーション

Bilocation,2010

作:法条 遙

Written by Haruka Hojo

長編

角川書店/本体667円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2010年10月25日/総421ページ(40w×18L)

分身の存在がアイデンティティを壊してゆく…
第17回(2010)日本ホラー小説大賞長編賞作品

 両親が遺したわずかな遺産を食いつぶしながら画家を目指す忍。結婚したばかりだったが、夫の実家の事情もあり、別居生活を余儀なくされていた。
 買い物に出た忍は偽札の利用をとがめられ、加納なる刑事に身柄を拘束される。しかし、連れて行かれた先は浜松市内でも有名な高級レストラン「アンリス」。そこで待ち受けていた飯村なる男性に迎えられる。「『もう1人の自分であるバイロケーションを何とかする会』へようこそ」。
 バイロケーション(同時両所存在)とは、分身のような存在。同じ記憶や知識を持ち、考え方も同じ。呼吸をし、食べ、飲み、歩き、笑い、泣く。出現する時間や間隔は不明。わかっている点は、他人にも見えること、本人と近い場所に現れること、光を反射しないため鏡に映らないこと。
 たちの悪い詐欺、と警戒する忍だったが、ついに自分のバイロケーションを目撃したばかりか、加納のバイロケーションの襲撃を受けてしまう。

 幾重もの謎が解けていく構成はミステリ風味であり、第11回(2004)佳作『レテの支流』を思い出した。文章の質は本作のほうがやや下だけど。
 発想や展開はたいへん巧みだけれど、ちょっと物足りないのがバイロケーションの正体。光を反射しない(だから鏡に映らない)にも関わらず、物体として存在している理由だ。ホラーゆえの不気味な謎を残しておくのはいいけれど、登場人物の誰かに「こんな原理ではないか」という推測を語らせたほうが、バイロケーションの理不尽な存在感を強調できたのではないか。

【サイト登録日】2012年2月1日 【ジャンル】ドッペルゲンガー 女性 画家

▽メモ1第17回日本ホラー小説大賞長編賞