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『なまづま』文庫本表紙(初版)

『なまづま』文庫本表紙(初版)

『なまづま』文庫帯-表面(初版)

『なまづま』文庫帯-表面(初版)

なまづま

Namazuma,2011

作:堀井拓馬

Written by Takuma Horii

長編

角川書店(角川ホラー文庫)/本体552円+税

単行本初版:−

新書本初版:−

文庫本初版:2011年10月25日/総236ページ(40w×17L)

亡き妻を甦らせるべく倒錯した飼育が幕を開ける
第18回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作

 他人の理解を求めず、主義主張も持たぬ私にとって唯一のより所だった妻が3年前に病死した。「生き続けてほしい」と妻の遺言に従い、自殺することもできず、ヌメリヒトモドキの研究員として、空白のカレンダーを埋める日々を送っていた。
 ヌメリヒトモドキ。全身から青い粘液と強烈な悪臭を放つ不死身の生物。30年ほど前のこと、ビルを圧する巨大な女王が世界各地に出現。生み出されたナマコ状の物体は、特定の周期で女王と融合するたびに容姿を人間に近づけていく。人間に危害を与えるわけではないが、存在自体が人類の脅威なのだ。
 研究員の私は、世間に公表されていないヌメリヒトモドキの能力を知っていた。髪の毛や爪を与え、記憶を語り聴かせることによって、その者の人格を丸ごとコピーする能力だった。
 妻の死に際し、私は計画を立てた。形見の髪の毛を使い、ヌメリヒトモドキとして妻を甦らせるのだ。

 受賞も納得の出来映え。タイトルの付け方も上手いし、ヌメリヒトモドキの存在感もよく描けているけど、おもしろいか、つまらないかで言えば後者。
 なにはともあれ文章がくどい。丁寧さは評価するけど、1つの段落に「私、私」と繰り返すさまには閉口した。一人称小説なのだから語り部が誰であるかは自明のこと。このしつこい連呼は、主人公の異常な自己愛を際だたせる仕掛けかもしれないけど、それは考えすぎかな。男女間の愛憎模様が紙芝居だったり、自滅という安易なラストも疑問符だけど、次作が楽しみな著者でもある。

【サイト登録日】2011年4月1日 【ジャンル】怪物 モンスター 不老不死 不死身 復活

▽メモ1第18回日本ホラー小説大賞長編賞受賞

▽メモ2応募作に加筆・修正の上で刊行

▽メモ3ヌメリヒトモドキの特徴

(1)青白い身体から粘液を滴らせ、腐敗臭のような悪臭を発して歩く(p10)

(2)宇宙空間でも死なない不死身の肉体。不眠不休、食料不要、痛覚もなく、精神も病まない。

(3)髪の毛、爪、歯、血液、唾液などを食すが、生きた人間は襲わない(p29)

(4)推論される行動パターンは2つ(p28、p87など)
 (a)「徘徊」…歩き回って人間社会の情報収集を行う。
 (b)「融合」…女王との一体化と分裂。融合を重ねるほど人間に近づく。融合周期は個体差があり、分裂に要する時間も20〜40時間と差がある。融合欲求は強く、阻止されると凶暴化することもある。

(5)他人の人格をコピーされた個体は、ヌメリヒトモドキである自覚も持っている。両者が共存しうるのは、精神が崩壊(狂う)しないため。