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Another アナザー(上)
Another,2009
作:綾辻行人
Written by Yukito Ayatsuji
長編
角川書店(角川文庫)/本体667円+税
単行本初版:2009年10月30日
新書本初版:−
文庫本初版:2011年11月25日/総402ページ(40w×17L)
次々と奇っ怪な死を遂げる3年3組の生徒たち
呪われた学級に秘められた謎を描く学園ホラー
自然気胸を患った15歳の僕(榊原恒一)は、大学教授の父が1年間の海外赴任するのを期に東京を離れ、×県夜見山市にある亡き母の実家に居候する。
中学最後の1年を過ごす夜見山北中学校3年3組に転入した僕は、見崎鳴なる眼帯の同級生が教師やクラスメイトから無視されていることを驚く。しかし、いじめの陰湿さはなく、むしろ誰もが怯え、恐れている風に感じ取れるのだ。
3年3組の災厄。発端は26年前にさかのぼる。クラスの人気者で人望の篤い生徒ミサキが不慮の事故死を遂げた。現実を受け入れられぬクラスメイトたちは卒業までの間、ミサキが生きているように振る舞い続けた。それ以降、3年3組には奇妙な現象が起こるようになる。学期の始めになると生徒が1人増えるのだ。記録や記憶が勝手に改ざんされるため、増えた1人を特定できないし、本人にもその自覚はない。生徒が増えた年には複数の生徒や家族たちが不可解な死を遂げる。
対策はただ1つ。1人多い年は、誰か1人を<いないもの>として扱い、つじつまを合わせること。今年の<いないもの>に選ばれたのが見崎鳴なのだ。→下巻へ
単行本発刊時(2009年)に書評などでチラリと見かけた「学園ホラー」という知識のみで読み始めたのだけど、どうにも世界に入りづらい。とくに見崎鳴という眼帯少女になじめない。不治の眼病を患っている管理人としては、「片眼の生活って、よほど不便だろうなぁ」と我が身に置き換えて考え込んでしまうのだけど、眼帯姿を蠱惑的(これが萌え?)と受け取る人もいるのだろう。眼帯から受け取る感性や情報量には、大きな世代差があるのかもしれない。
作品そのものは、幾層にも連なる謎の連鎖が興味深くて、下巻が楽しみだ。
【サイト登録日】2012年8月3日 【ジャンル】学園 学校 中学生 呪い 怨霊 事故 都市伝説 怪談
▽メモ1自然気胸
外傷や人工気胸以外の自然に起きる気胸。明らかな肺疾患のない特発性自然気胸(狭義の自然気胸)と肺疾患に続発する続発性気胸とがある。前者は細長い体型の20歳前後の青年に多く、肺表面の気腫性のう胞の破裂により起こると考えられる。「広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店」より
▽メモ2夜見北中学の心構え
(1)屋上にいるとき、カラスの鳴き声を聞いたら左足から校内へ戻る。
(2)3年生になったら裏門の坂道で転んではいけない。
(3)クラスの決まり事は必ず守ること。
(4)?(ネタバレにつながるので割愛)
▽メモ3上巻作中登場する欧米ホラー小説と作家
作品:『呪われた町(p26)』『ペット・セマタリー(p26)』『ミザリー(p58)』『ラヴクラフト全集2(p195)』
作家:スティーヴン・キング(p58)、ディーン・R・クーンツ(p126)、ジョン・ソール(p126)、マイケル・スレイド(p126)、ラヴクラフト(p195)
▽メモ4不慮の死を遂げた人々(下巻の項にまとめて掲載)