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『降臨』文庫表紙

『降臨(『痛いひと』改題』)』文庫表紙

パンドラの匣

Pandra no hako,2005

作:明野照葉

Written by Teruha Akeno

短編32ページ/『降臨』所収/光文社文庫

Kourin,2005

他人の負が見えてしまう能力者の悲喜劇
全短編のプロローグというべき管理人夫妻登場譚

 JR中央線の通勤ラッシュ。根木淑彦は、脂汗をにじませながら耐えていた。
 娘の出産に立ち会うため、朝一番の新幹線で上京するという叔父に頼まれ、東京駅まで出迎えるはめになったのだが、そもそも人混みが苦手ゆえに社会からドロップアウトした淑彦にとって「痛勤電車」こそ悪夢なのだ。
 新宿駅で入れ替わった乗降客を見て、これはいけない、と顔をしかめる淑彦。
 支離滅裂な曼荼羅で支配されている若い男、異常な被害妄想癖を持つ女、隣り合う女を頭の中で犯す男、すまし顔のOLには4体の水子が取りすがり、飢えた犬のような先祖霊を背負う男すらいる。
 ガマンできずに過呼吸の発作で倒れた淑彦を見て、被害妄想女がテロと騒いで卒倒、電車内はパニックに襲われる。鉄道警察の取り調べを受けた淑彦は、叔父との約束も果たせずに帰宅。勤めから戻った妻の花枝は、意気消沈する夫を気遣う。
 この夫妻、否応なく他人の負が見える能力を持っていたのだった。

 本書の収録作品には、管理人として根木夫妻がチラチラと登場する。チョイ役なので素姓などは一切語られていない。そんな脇役の夫妻を紹介するため、単行本刊行時に書き下ろされたのが本作。
 人物紹介なので劇的な事件が起こるわけでもなし、これというオチもない。超能力夫婦の市井の生活を淡々と描いている。『パンドラの匣』というご大層なタイトルを付けているから単体として読んでしまう。単体だと平坦でパンチがなく、オチもない中途半端さが目立つ。作者の意図からすれば「プロローグ」と題したほうが、親切だったと思う。

【サイト登録日】2008年10月5日 【ジャンル】超能力・霊能力

▽メモ1単行本書き下ろし