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『降臨』文庫表紙

『降臨(『痛いひと』改題』)』文庫表紙

それだけは言わないで

Soredake wa iwanaide,2002

作:明野照葉

Written by Teruha Akeno

短編37ページ/『降臨』所収/光文社文庫

Kourin,2005

事故死した元恋人の幽霊が出現する部屋
神経をすり減らした男は親友に相談するのだが…

 寺岡晃司は、日々の残業に追われる多忙なサラリーマン。
 オレも34歳、そろそろ身を固める頃合いだ。恋人の水島真理子は真面目な女性だし、親友の須田継男も応援するといってくれる。
 帰宅した寺岡を出迎える独りの女。野田沙織。結婚を約束した元恋人。
「仕事なんてウソ。女と会ってたんでしょ」と泣き始める沙織。
 真理子との結婚を考えれば、そろそろ本当のことを告げるべきだ。意を決した寺岡は告げる。「沙織、お前は4年前の交通事故で死んでいるんだよ」
「それだけは言わないで欲しかった…」。スっと消え去った沙織だが、10日も経つと何食わぬ顔で部屋に現れ、身の回りの世話を焼き始める。
 困り果てた寺岡は、須田に相談する。「沙織の幽霊に悩まされているんだ」
 顔色を一変させる須田。「沙織さんは、生きているじゃないか」
 寺岡が見たものとはなんだったのだ?

 主客転倒のオチを付け、心の暗さを語る作品。着地点が予想範囲であり、驚かされることもない。
 ここまで読んだ『パンドラの匣』『脳の傷が酒にしみる』と同様、どうにも印象に残りづらい。主人公の心が壊れていくさまを感じ取れない。
「疲れた人がふとしたきっかけで人生を踏み外す」は、ホラーに限らず、さまざまなジャンルで定番の題材。ならばこそ、構成とオチにいっそうの工夫してほしい。「あぁ、そうだったのか」と思わせるのがファンタスティックな作品。「あー、そうなのね」で済んじゃう本作を素敵とは呼べない。

【サイト登録日】2008年10月8日 【ジャンル】サイコ・幽霊

▽メモ1掲載

月刊『小説宝石』2002年8月号