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『降臨』文庫表紙

『降臨(『痛いひと』改題』)』文庫表紙

充実

Jyujitsu,2003

作:明野照葉

Written by Teruha Akeno

短編38ページ/『降臨』所収/光文社文庫

Kourin,2005

運命の男性を横取りするなんて許さない
妄執と嫉妬で歪んだストーカー女の脅威

 人間関係のトラブルで会社を辞め、以降はアルバイトで糊口をしのいでいる山田日出子は、同じマンションに住む霧原美生に羨望を覚えていた。活気に溢れ、颯爽としている美生は、仕事も私生活も充実しているに違いない。
 ある日のこと、日出子の部屋へ凄まじい剣幕で乗り込んでくた美生。「村井さん、あなたのところにいるんでしょ」。部屋に上がり込み、鬼気迫る表情で家捜しを始める美生。呆気にとられる日出子。
 新宿のバーで知り合い、一夜の関係を結んだ男、村井誠也が連絡をよこさないという。彼は運命の人。あんたが横取りしたいに違いない、と美生。彼女が充実して見えたのは、男を求め捜す異様な執着心によるものだった。
 彼女のストーカー行為に根負けした日出子は、10日以内に村井を連れてくると約束させられる。その夜から素人探偵となった日出子は、村井を捜し求める。
 成果もないまま約束の日を迎え、美生の部屋を訪れた日出子だったが…。

 日常に不条理な出来事が割り込んでくる"巻き込まれ系"。ホラーでは、クーンツが好んで使うシチュエーションで、ありきたりなんだけど1,000ページ以上の大長編を読ませてしまう。職人技。同工異曲って気もあるけど。
 それはさておき、これまで読んだ作品中、中だるみせずに最後まで読むことができた。「警察行けば?」と主人公の背中を押したくなるけど、女ストーカーの凄み、気が弱い主人公という性格付けのため、ギリギリのところで踏みとどまっている。平凡な人生が不条理な出来事を通じて充実していく、という様子もおもしろい。オチがパンチ力不足なのは相変わらずといった感じ。

【サイト登録日】2008年10月8日 【ジャンル】サイコ・妄執・ストーカー

▽メモ1主人公の職業描写に疑問(p123)

颯爽とした霧原美生を見かけた主人公が「フリーの編集者だろうか、それとも何かのコーディネーター〜」と感想を述べます。「フリーの編集者」と言われてピンとくる読者はいるのでしょうか。疑問。

▽メモ2掲載

月刊『小説宝石』2003年1月号