全作品リスト

書名:短編集

書名:長編

書名:掌編集/実話怪談

書名:ホラー関連書

作家リスト

シリーズリスト

特集ページ

サイトトップへ戻る

本サイトについて

更新履歴

累計:

今日:

昨日:

『降臨』文庫表紙

『降臨(『痛いひと』改題』)』文庫表紙

降臨

Kourin,2004

作:明野照葉

Written by Teruha Akeno

短編40ページ/『降臨』所収/光文社文庫

Kourin,2005

勤勉だった主婦を一変させた神様の一言
変事に慌てふためく家族の姿をユーモラスに描く

 病院勤務で医療事務をやりながら家事一切もテキパキとこなす働き者の文枝。朝から口うるさい文枝に夫の正良、娘の由佳、息子の正人は辟易としていた。もう勘弁してくれ、静かな朝を迎えたいのに…。
 ある朝のこと。惚けたようにリビングのソファに座る文枝は、家族たちに告げる。「あのね、神様が降りたのよ」。
 夢の中で久礼阿豆佐見御命(クレ、アズサミノミコト)が降臨し、「もう何もしなくていい。いや、しちゃいけない」と告げられたという。結婚して二十三年も経つ夫の正人は、妻の変貌ぶりに驚くばかり。
 その日を境に着の身着のままでぼんやりと過ごす文枝に代わり、慣れない家事で生活リズムを崩す家人たち。
 霊能力のようなものを持っているらしい文枝の妹、花枝の見立てでは、疲れの蓄積によってブレーカーが落ちた状態らしい。果たして回復の方法とは?

 収録短編中もっともユーモラスな味わいの濃い作品。
 神様のお告げをたまわった主婦を穏やかに描き、あたふたする家族がよけい滑稽に写る。他人のトラブルをのぞき見るようでもあるけど、どうにも印象に残りづらい。物語そのものがノッペリしているせいだと思う。
 突然家族が心の病んだら、家族はどうするか。診察させるべきか、世間体もある、毎日の暮らしもある、将来どうすればなど、良心とエゴの葛藤が生ずるはず。そのあたりに触れらていないので、緊迫感や焦燥感が伝わってこない。ホラー以前に物語のメリハリに欠けている。これが作者の狙いなのかな。

【サイト登録日】2008年10月22日 【ジャンル】サイコ・宗教

▽メモ1掲載

月刊『小説宝石』2004年6月号