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『降臨』文庫表紙

『降臨(『痛いひと』改題』)』文庫表紙

汝の隣人愛すべし

Nanji no Rinjin Aisubeshi,2005

作:明野照葉

Written by Teruha Akeno

短編31ページ/『降臨』所収/光文社文庫

Kourin,2005

手作り人形を配り歩く薄気味の悪い入居人
能力者の根木夫妻は探りを入れてみるのだが…

 管理員として中野区のマンションに住み込む根木淑彦・花枝夫妻は、他人の想念を感受する能力を持っていた。邪念に影響を受けやすい体質の淑彦、受け流す体質の花枝は、お互いを支え合うよきパートナー。
 ある日のこと。隣室に雨宮武司・江美という若い夫婦が入居する。挨拶に訪れた江美は、マスク、帽子、手袋にサングラスと奇妙な出で立ち。夫婦そろって陽射しに弱い体質らしい。おまけに挨拶品として渡された袋には、のっぺらぼうの手作り人形が入っていた。
 それ以降、マンションでは水道からガスなどの設備トラブルが多発する。根木夫妻が不審に思ったのは、隣室から生活している気配がまったく感じられないことだった。能力を使っても雨宮夫妻からはなにも感じ取れない。
 どうにも釈然としない淑彦は、雨宮夫妻の外出を見届けると部屋に無断侵入する。そこで見たものは、山と積まれたのっぺらぼうの手作り人形だった。

 巻頭作『パンドラの匣』と同様、単行本のための書き下ろし作品。
 各作品でちょくちょく登場する根木夫妻が、周囲に不幸をお裾分けする能力者夫婦に圧倒されるさまをユーモアたっぷりに描く。
 派手に対決させる必要はないけれど、『パンドラの匣』と同じでオチがない。さんざん謎かけしておいてオチなしでは、読後に徒労感が残るだけ。
 管理員の住み込み部屋が5階っていうのも違和感を覚えた。現実にそうしたマンションもたくさんあるだろうけど、物語の上で彼らを5階に住まわせた意味は、まったく語られていない。ちょっと気になった。

【サイト登録日】2008年10月22日 【ジャンル】超能力・霊能力・人形

▽メモ1根木夫妻が感じ取っているものは?(p290)

「(病んだ人間などが)脳を中心としたからだ全体から、独特の空気を発している」

▽メモ2人形の髪が伸びることを例に挙げて作者いわく(p298)

「人形は持ち主である人間から運気を奪うこともする。〜かくして人形は、次第に命や魂のようなものさえ持ち始める」

▽メモ3単行本書き下ろし