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『ぼっけえ、きょうてえ』文庫表紙

『ぼっけえ、きょうてえ』文庫表紙

ぼっけえ、きょうてえ

Bokkee Kyoutee,1999

作:岩井志麻子

Written by Shimako Iwai

短編39ページ/『ぼっけえ、きょうてえ』所収/角川ホラー文庫

Bokkee Kyoutee,1999

寝物語に遊女が語る身の上話の恐ろしさ
悪夢の景色が垣間見える”とっても怖い”お話

 岡山の遊郭。きょうてえ(怖い)夢を見る、という客に遊女が語る。
 寝付くまで話をせい、と。妾(わたし)の身の上を聞きたいじゃて? しゃあけど、ますますよい夢は見られんようになるよ…。
 津山の近く、強訴谷で生まれ育った遊女。土地は痩せ、毎年のように凶作の貧しい村。そんな寒村でも一番の貧乏だった遊女の家族。
 流れ者の両親は村八分にされていたが、ある時だけ必要とされる。遊女の母親は堕胎専門の間引き産婆だった。オカイチョウ(セックス)に狂った百姓の妻たちの望まぬ赤子を処分するために出かけていく。
 尿糞にまみれた死子は物と同じ。川に放り捨てられ、流れていく。
「この穴は地獄に通じとる、と妾は小まい頃から知っておった。男は女や女の穴が好きなんじゃのうて、通じる地獄が好きなんじゃろ」
 ふふふ、と笑う遊女。地獄の釜のふたが開かれようとしている…。

 禁忌をあぶり出す。これこそホラー小説の醍醐味の1つ。
 見なければよかった、知らなければよかった。登場人物の恐怖や不安、苦悩のあえぎ。読み手はこうした感情を追体験することで、のぞき見的な背徳の悦びを味わうことができる。
 そんな悦びをたっぷりと味わえる本作。業深き人間の醜さがジクジクと迫ってくる。読んでいて息苦しさを覚えた。心が落ち着かない感じ。こういう作品ってめったにお目にかかれない。ファンタスティックな体験。
 全編岡山弁の一人語りという手法も生々しい怖さに拍車をかけている。

【サイト登録日】2008年12月6日 【ジャンル】呪い・土俗・民俗

▽メモ1第6回日本ホラー小説大賞受賞。

▽メモ2「ぼっけえ、きょうてえ」とは、岡山弁で「とても、怖い」

▽メモ3分限者(p11)

金持。ものもち。ぶげんもの。四河入海「兪氏はいかめしい大名の―で有るぞ」。饗庭篁村、当世商人気質「我等は親代々の―にあらず臑(すね)一本を資本(もとで)にして伊勢からの出稼ぎ」(広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店)

▽メモ4ナメラスジ(p20)

魔物が通る道。参考サイト:怪異・妖怪伝承データベース