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『鼻』文庫表紙

『鼻』文庫表紙

暴落

Bouraku,2007

作:曽根圭介

Written by Keisuke Sone

短編100ページ/『』所収/角川ホラー文庫

Hana,2007

人間の「株」が株式として売買される世界
株の暴落で人生を踏み外した男の末路

 ぼくは、井田裕二。全身包帯に巻かれ、病院のベッドから身動きできずにいる。どうしてこうなったかって?
 かつては、3大メガバンクの「三友かえでKSJなかよし安心銀行新宿支店」に勤務するエリート銀行員だった。婚約者の絵美との結婚も間近に控え、いずれは彼女の父親の会社を引き継ぐ。
 ところが最近になってぼくの株価がジリジリと下落している。「エリート圏」から落ちてしまえば、すべてがご破算だ。
 下落の原因は、薬漬けの兄、幸一だった。こいつと縁を切らなければ…。ぼくは手持ちの兄の株を全部売り払い、市場もその行為を「英断」と認めてくれたようで、株価が上がり始めた。そんなとき、兄が銀行強盗を起こし、「市場の番人庁」の役人がぼくをインサイダー取引で逮捕した。株価は暴落し、上場廃止スレスレ。この社会では無価値な人間として烙印を押されたぼくだったけれど…。

 人の価値が株式売買によって成立する世界、というストレートなアイデアがおもしろい。『世にも奇妙な物語』あたりでドラマ化すれば、小気味よい作品になるかもしれない。
 主人公の意志とは無関係に人生が転がり始める、という点で「不条理」系に属する作品だろうけど、怖さや不安感はゼロに近い。ストーリーが流れるように進み、読み手の想像力を喚起する"間"がないためだと感じる。あっさり系の文章だから、なおこと印象に残りづらい。これが作者の持ち味なのかもしれないので、他の作品も読んでみたいと思った。

【サイト登録日】2009年6月21日 【ジャンル】不条理・サイコ