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『鼻』文庫表紙

『鼻』文庫表紙

受難

Jyunan,2007

作:曽根圭介

Written by Keisuke Sone

短編78ページ/『』所収/角川ホラー文庫

Hana,2007

都会の真ん中で衰弱していく俺
絶望的な状況と奇妙な人々を描いた不条理ホラー

 ビルとビルの間で目覚めてから2日間、俺はひたすら助けを待った。
 地面から突き出て壁の中に消えている鉄パイプと右手首の手錠でガッチリとつながれ、どうあがいても抜け出せそうにない。
 25メートル先には鉄扉があり、周囲からは車の走行音や騒々しい工事の音が響いてくる。街中であることは間違いない。すぐそこに普通の生活が開けているのに、誰も俺を見つけてくれない。狂おしいまでの喉の渇きと空腹感。
 そんなとき、ビルのドアが開いて若い女が現れる。これで助かる、と思ったが、待てど暮らせど助けはこない。
 やがて、俺を手錠につないだ張本人の男子高校生、ネジの緩んだ浮浪者がやってくるが、どいつもこいつも助けにならない。
 手の届かない場所に転がっているケータイに恋人ミカからコールが入る。絶望が俺をむしばむ。俺はここで朽ち果てていくのだろうか…。

 主人公の必死さというか、あがきが伝わってこない。紙芝居を見ている感じに近い。起伏がないというか、臨場感に乏しいというか、盛り上がりに欠けるというか、舞台や人物を含めて平面な印象を受けた。
 良くいえば、さりげない雰囲気を持っている。異常な人物や出来事がポンと置かれていても不思議ではない、という世界観。手堅くまとまっているけれど、予定調和以上のものは出てこない。驚きも、怖さも、なにも心に残らない。良くも悪くも"無味乾燥"な作品。
暴落』でも同じことを感じたので、これが作者の持ち味かな。

【サイト登録日】2009年6月21日 【ジャンル】サイコ・監禁・不条理