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『夜市』文庫表紙

『夜市』文庫表紙

風の古道

Kaze no Kodou,2005

作:恒川光太郎

Written by Kotaro Tsunekawa

短編112ページ/『夜市』所収/角川ホラー文庫

Yoichi,2005

少年たちの胸躍らせる冒険行が招いた
大きな悲劇とせつない現実

 花見にやってきた小金井公園で迷子となった7歳の私は、不思議なわき道を見つける。道の両側に立ち並ぶ家々は、なぜか玄関を背にしていた。
 あらゆる世界の境界を貫き、人間と妖怪が往来する「古道」。鬼道、死者の道、霊道とも呼ばれ、かつては人間界にも広く開かれていたが、いまではごく限れた出入口からわずかな人々がやってくるのみだった。
 親友のカズキと共に再び古道へやってきた私は、牛車を引く青年と出会う。彼の名はレン。古道で生まれ、道案内で生計を立てながら放浪の旅を続けている。この地で生まれた自分は古道の所有物であり、外の世界へ出て行けない、と話す。
 レンに先導してもらい、出口へ向かう私たちだったが、人間界からやって来た連続殺人鬼の凶弾がカズキの命を奪う。
 古道には、死人を生き返らせる寺があるという。私たちの10日間に及ぶ旅が始まる。

 デビュー2作目にして『夜市』を超える作品をものしたのは立派。
 人間と妖怪が共存している世界観は『夜市』と地続きで、「なんでも手に入る夜の市の話(p151)」という記述もある。
 7歳の少年の死を描く本作は、それでもどこか温かい眼差しを持っている。未来永劫、古道をさまよう幽霊となった少年の瞳を「ほんの一瞬だけ光を取り戻した。悪戯っぽいあの目だった(p206)」と描いてみせる。
 大好きな作品だけど、主人公の少年が7歳にしては大人びているところに不自然さは残る。もう少し年長の設定でもよかった気がする。

【サイト登録日】2009年9月6日 【ジャンル】妖怪 異世界