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『白い部屋で月の歌を』文庫表紙

『白い部屋で月の歌を』文庫表紙

白い部屋で月の歌を

Shiroi Heya De Tsuki No Uta Wo,2003

作:朱川湊人

Written by Minato Syukawa

中編117ページ/『白い部屋で月の歌を』所収/角川ホラー文庫

Shiroi Heya De Tsuki No Uta Wo,2003

月が啼くのを聞いたことがありますか?
第10回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品

 私の名前はジュン。身体が不自由で歩くこともままなりませんが、敬愛するシシィ姫羅木先生とともに霊魂を"行くべきところ"へ送り出す仕事をしています。
 強い未練や恨みを残して死んだ人の霊魂は地場にとどまり続けます。先生は偉大なお力で地場から霊魂を引き離しますが、そのためには一時的にとどめておく場所が必要です。私は霊魂をとどめておく「憑坐(よりまし)」なのです。
 私には「白い部屋」として見えます。白い部屋を見下ろしながら、逃げだそうとする霊魂を閉じ込め、彼らの恨み、つらみ、ののしりに耐えなければなりません。彼らの死にざまを追体験させられることもあります。
 悪い地場には、悪いエネルギーが集まります。そこに魂を囚われ、生き霊となっていたあなたを救ったとき、私は不思議な気持ちになりました。
 白い部屋で一緒に過ごした時間、はつらつとした態度、美しい笑顔。
 もう一度逢いたい。叶わぬ夢でしょう。私の心は、もうすぐ死ぬのです…。

 残酷であるがゆえのせつなさに満ちている作品。素晴らしい。
 主人公の正体は賛否両論なんだろうと思う。たしかに強引な気もするんだけど、彼のひたむきな気持ちに強く胸を打たれていたから、あまり気にならなかった。とくにラストの独白(p121〜p122)には涙が止まらず、「私は歩きます」という結びの一文を受けたとき、深い感動で心が満たされた。もっと読み続けていたい、という気持ちになった。ホラー好きはもちろんだけど、食わず嫌いでホラーを敬遠している人にこそ読んでほしい。
 文章もたいへんお上手で、描写全般にしつこさがなく、気分良く読める。

【サイト登録日】2010年1月6日 【ジャンル】霊魂・心霊・呪術・悪霊・人形

▽メモ1第10回日本ホラー小説大賞短編賞

この年の大賞受賞作は短編『姉飼』。短編に良作が集まった年でした。

▽メモ2本サイトでは中編に分類

100ページ超のため、本サイトでは中編に分類(分類については本サイトについて:3-(4)参照)。