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『姉飼』単行本表紙

『姉飼』単行本表紙

ジャングルジム

Jungle gym,2003

作:遠藤徹

Written by Toru Endo

短編38ページ/『姉飼』所収/角川ホラー文庫

Anekai,2003

初めての恋に身を焦がすジャングルジム
愛情が憎悪に変わったとき悲劇が幕を開ける

 朝日を浴びて全身の力がみなぎるのを感じるジャングルジム。今日も子供たち、大人たちがやってくるだろう。
 人生に疲れたサラリーマン、言葉を失ったと嘆く詩人、元気一杯に遊ぶ子供たち。ジャングルジムはすべての人々を受け入れ、優しく抱擁する。
 ジャングルジムはいつも気配りをしている。足を滑らせた子供がいれば、目にもとまらぬ速さで身体をくねらせて窮地を救う。そんな彼の元を訪れた一人の女性。
 おみごとね。見せてもらったわ。あなたのさりげない気配り…。
 話を聞きたいと誘われ、ジャングルジムは初めて公園を後にする。初めてのデート、初めてのお酒、初めてのセックス、初めての恋。
 それからのジャングルジムは、女性の来訪を待ち焦がれるばかり。サラリーマン、詩人、子供たち。そのすべてがうとましい存在となった。
 ジャングルジムの愛情は日増しに高まっていき、ついに運命の夜を迎える。

 ジャングルジムの擬人化し、人間の女性とデートやセックスをさせるなど、ものすごく歪んだ情景であるにも関わらず、あるがままに受け入れることができる。日常と非日常をまぜこぜにするのが巧みで作者の本領発揮といったところか。思春期の青年のような、老成した大人のような、どっちつかずの性格描写も上手だ。
 ジャングルジムを男性に模している点も興味深い。直線的な鉄棒の堅さが由来かな。「潜り込むところであり、なおかつカラフルな姿」から女性のイメージを持っていたんだけど。一般的に男女どちらのイメージが強いのだろう。

【サイト登録日】2010年3月22日 【ジャンル】公園 無機物 嫉妬 憎悪 セックス

▽メモ1ジャングルジムの構造(p88〜p89)

 鋼鉄のバーが直線と直角のみで構成している。バーの色は情熱の赤、冷静の青、詩的感受性の緑がバランスよるちりばめられており、心臓にあたる中央部の12本のバーだけが黄色。

▽メモ2設計者について(p104)

神智学やモンドリアン風の新造形主義に凝っていた。美大卒業後に児童向け運動玩具製造会社に勤務し、自分の美学を生かそうとするが、周囲と軋轢を起こして退職した。主人公のジャングルジムが最後の作品。

▽メモ3女性が同伴した紳士のジャングルジム評(p117〜p118)

「ちょっと変わったデザインではあるな。未来派風キュビスムの躍動感がある。それにシュプレマティスムのような抽象的神秘性も感じられるね」