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『姉飼』単行本表紙

『姉飼』単行本表紙

妹の島

Imouto no Shima,2003

作:遠藤徹

Written by Toru Endo

短編50ページ/『姉飼』所収/角川ホラー文庫

Anekai,2003

人の業に支配された孤島の悲劇
息苦しさに充ち満ちた退廃ホラー

 温暖な気候に恵まれた瀬戸内海の孤島は、果樹園として繁盛していた。
 経営者にして島の支配者でもある巨漢の吾郎は、いまやブヨブヨの肉のかたまりというべき姿をしていた。凶暴なオニモンスズメバチに刺されることを好み、植え付けられた幼虫が皮膚の下で肉を喰らう激痛と快楽に酔いしれるのだった。
 愛人たちに産ませた4人の息子(仁一、仁慈、仁三郎、仁四郎)は吾郎そっくりの容貌を持ち、粗暴さにかけては父にひけをとらなかったが、無残な死体となって相次いで発見される。島に渡った警察も首を捻るばかりだった。
 島の住民たちは噂した。蜂笛を使う養蜂家の光一が犯人ではないか、と。
 それには理由があった。兄の光一とただならぬ関係にあると囁かれた妹アマリが4兄弟にレイプされ、気が触れたあげく崖から転落死する。光一は変わり果てた妹の首を島の中央に埋めた、というのだ。
 狂気、秘密、愛欲、憎悪…。滅亡に向かって突き進む島民の運命は?

 生理的にイヤぁ〜な描写がてんこ盛りなのは『姉飼』同様だけど、退廃的な色合いは本作のほうが強い。母は違えど父そっくりな粗暴4兄弟、座敷牢に棲んでいる狂女、ただならぬ関係を匂わせる養蜂家の兄と妹など、閉鎖社会に潜む後ろ暗さ、気だるさをうまく表現している。
 でも、読み終わって印象に残ったのは、息が詰まるような湿気と果実園の甘い香り、腐った果物に群がる虫の描写だけ。
 いろいろと詰め込みすぎているせいか、散漫で読み応えのない物語になっている。この空疎感は狙ったものなんだろうけど、消化不良という気もする。

【サイト登録日】2010年3月24日 【ジャンル】島 孤島 虫 昆虫 狂女