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『デス・ネイル』文庫表紙

『デス・ネイル』文庫表紙

月の川

Tsuki no Kawa,2006

作:森山 東

Written by Higashi Moriyama

短編42ページ/『デス・ネイル』所収/角川ホラー文庫

Death Nail,2006

絶世の美貌を誇る人妻と息子の隠された秘密
夏のキャンプ地で明かされる衝撃の事実とは…

 2人の娘を連れて学童保育のキャンプへ同行するはめになった私。
「有馬さんの奥さんに会ったらびっくりするわよ。すごい美人なんだから」と笑って送り出してくれた妻の言葉は正しかった。
 有馬久美子の美貌と妖艶なプロポーションに、私は目を奪われる。日本人だというが、言葉がたどたどしく、異国の人を思わせる。それに引き替え息子の純は、人間というよりは何かの動物を思わせる容姿をしている。
 同行した保護者たちの噂話によると、夫は医者であり、心の病を抱える久美子を心配していること、深夜になるとマンション近くの川を全裸で泳いでいることなどが伝わってくる。
 その夜、月明かりの川で全裸の有馬親子が泳いでいる姿を目にした私。「きいっ」と久美子が鳴き、息子も「きいっ」と応じる。親子は捕らえた生魚をむさぼっていたのだ。まるで狐憑き、いやニホンカワウソ憑きというべきか。
 逃げようと立ち上がった私の背後にいつの間にか保護者たちが現れて…。

 奇妙な行動をとる絶世の美女、妙に毛深い息子、夏の夜のキャンプ。お膳立てはバッチリだし、ジワジワと深まっていく謎も巧みに描けていると思う。夜の川で生魚をむさぼり食うあたりまでは、たいへんおもしろかった。
 それが最後の2ページで台無し。主人公と次女以外の全員が有馬久美子に影響を受けていた、というオチ。邪教崇拝か、憑依は伝染するのか。あまりにも不自然な展開なので、悪い意味でビックリさせられた。また、主人公が「私は心理学をかじったことがある(p175)」と唐突に語り始め、彼女がニホンカワウソに憑依された状態である、と納得する。なんだ、それ。

【サイト登録日】2010年2月7日 【ジャンル】呪い 憑依 狐憑き 邪教 美女

▽メモ1有馬久美子の描写(p141)

理想的な卵型の小さな顔、流麗な筆遣いで描かれたような眉、深く澄んだ大きな瞳、はっきりとした鼻筋、肉感的な唇、少女のように細い首筋。大きく隆起した胸、蠱惑的なヒップラインから伸びる脚。

▽メモ2有馬純の描写(p142)

顔の輪郭は円形で、鼻と口が突出。上唇が分厚くブルドックのようにたるんでいる。瞳の色は母親譲りだが、両目の間隔がひどく離れている。全身に薄茶色の体毛が繁茂している。