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『玩具修理者』文庫表紙(11刷/刷新バージョン)

『玩具修理者』文庫表紙(11刷/刷新バージョン)

玩具修理者

Gangu Shurisha,1996

作:小林泰三

Written by Yasumi Kobayashi

短編37ページ/『玩具修理者』所収/角川ホラー文庫

Gangu Shurisha,1996

死んだ猫すら甦らせる玩具修理者とは何者か
日本ホラー小説大賞史上初の短編賞受賞作

 この女が昼間サングラスを外しているのを見たことがない。
 夏の残陽が差し込む夜7時の喫茶店。わたしは長年の疑問をぶつけてみた。
「事故よ」と女。「言っても信じやしないわ」ともいう。
 女が7歳か、8歳のことである。厳格かつ暴力的な両親に命じられ、赤ん坊だった弟の道雄を背負って子守をしていた。
 猛暑の日。道雄を背負っておつかいに出た女は、歩道橋で足を滑らせ、真っ逆さまに落ちてしまった。気絶から覚めると顔の左半分から大量の血が流れ出ており、下敷きになった弟はぐったりと息が止まっていたという。
 女は焦る。このままでは両親にひどく叱られてしまう。そうだ。玩具修理者に頼んでみよう。オモチャから死んだ猫まで、どんなものでもたちどころに直してくれる、と子供たちの間では噂になっていた。
 じくじくと腐敗の進む弟を背負った女は、玩具修理者の元へ急ぐのだが…。

 クトゥルー神話の邪神をもじった名前がちりばめられている本作は、相当にマニアックな味わいを持っている。このマニアックさも含めて評価した1996年当時のホラー小説大賞は、2010年の現在よりも多少の余裕を持って選考に当たっていたのかもしれない。
 クトゥルーうんぬんを知らずとも充分に愉しめる作品であり、不気味なホラー小説として完成している点も大いに評価したい。
 一番のお気に入りはお姉さんの最後のセリフ。たった9文字なれどキュキュッと作品を引き締めている。あっぱれ。

【サイト登録日】2010年5月25日 【ジャンル】クトゥルー クトゥルフ 邪神 姉弟 復活

▽メモ1第2回(1995)日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品

 短編賞は第2回から新設されました。つまり、本作はホラー小説大賞史上初の受賞作となります。

▽メモ2玩具修理者の容姿(p9〜p11)

・見た目からは国籍・性別・年齢すべて不詳。

・髪はクレヨンを全部画用紙で塗りたくったような色。

・手足や顔はぬめぬめと脂ぎっている。

・名前の発音は聞く人によって異なる。

▽メモ3玩具修理者の名前1「ようぐそうとほうとふ」(p9)

「ヨグ=ソトホース」のもじり(オリジナル登場作『ダンウィッチの怪』など)

▽メモ4玩具修理者の名前2「くとひゅーるひゅー」(p9)

「クトゥルー」のもじり。(オリジナル登場作『クトゥルーの呼び声』など)

▽メモ5玩具修理者の名前3「ぬわいえいるれいとほうてぇーぷ」(p10)

「ナイアルラトホテップ」のもじり(オリジナル登場作『ナイアルラトホテップ』など)