全作品リスト

書名:短編集

書名:長編

書名:掌編集/実話怪談

書名:ホラー関連書

作家リスト

シリーズリスト

特集ページ

サイトトップへ戻る

本サイトについて

更新履歴

累計:

今日:

昨日:

『古川』文庫表紙(初版)

『古川』文庫表紙(初版)

古川

Furukawa,2001

作:吉永達彦

Written by Tatsuhiko Yoshinaga

短編92ページ/『古川』所収/角川ホラー文庫

Furukawa,2001

川で命を落とした怨霊たちの邪悪なたくらみ
第8回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品

 昭和30年代。大阪。古川。河川沿いの長屋で仲むつまじく暮らす落合一家。
 帰宅した小学2年生の真里を弟の真司が嬉々として迎える。2歳児にしては言葉の遅い真司は独特の発音でしゃべる。「真司語」を聞き取れる真里は、その内容を父の聡、母の光子に伝える翻訳係だった。
 出張で父不在となった雨の夜のこと。仏壇へ向かって滴る水の跡、突然の停電、雨戸を叩く音。
 暗がりの中から現れたのは、次女の真弓だった。2年と8ヶ月前、古川で溺死した真弓が帰ってきたのだ。
「どうせうちはいらん子やったんや」
 見殺しにされたと思い込んでいる真弓は、不思議な力で真司を奪うと古川の中へ消える。真司を救うべく古川に飛び込んだ光子と真里。しかし、母子の前には、かつて古川で命を落とした人々が怨霊となって立ちはだかるのだった。

 ほのぼのとした幕開けはホラーとは思えないけど、主人公一家のしぐさが生き生きと描かれており、すっと物語に入っていける。昭和30年代のことはよく知らないけれど、なぜか懐かしい風景を見ている気分になった。このあたりの文章や構成はお上手。
 恐怖の上り坂が見えてくるp40〜p45あたりまではすごぶるおもしろい。そこから物語は急降下しちゃってツマらなくなる。
 いきなり物語に介入する次女の亡霊(次女がいたことは語られていない)、現代的エログロをむりやり突っ込んだ怨霊たちとのバトル。腰が砕けた。

【サイト登録日】2010年5月11日 【ジャンル】昭和 亡霊 怨霊 水死 川 子供

▽メモ1第8回(2001)日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品

▽メモ2時代設定は昭和32〜33年?(P10)

「園まり」の名が頻出することや、「ラジオから、坂本九の「上を向いて歩こう」が聞こえてきた(P10)」とあることから昭和32〜33年(「上を向いてあるこう」レコード発売は昭和32年10月)あたりの大阪を舞台にしているようです。