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あせごのまん
Asego no Man,2005
作:あせごのまん
Written by Man Asegono
短編26ページ/『余は如何にして服部ヒロシとなりしか』所収/角川ホラー文庫
How I Became Hiroshi Hattori,2005
子授け地蔵に参って生まれた「阿瀬郷のまん」
全編土佐弁で語られる郷土色豊かな奇譚
炭焼きを生業とする働き者の夫婦がいた。子宝に恵まれず、見かねた九尾の村人が子授け地蔵の噂を教えた。熱心に参じた夫婦に待望の男の子が生まれた。
名前をまんと付けた。村の人々からも「まんよ、まんよ」と可愛がられた。
お地蔵様の授けものであるためか、2、3歳にして山を駆け回り、川に潜り、12歳になると父の仕事の半分をこなすようになる。月日が流れてゆき、成長したまんは別れの言葉を残して森に消えていく。
再び姿を現したまんの姿に夫婦は驚く。全身毛むくじゃらの化け物となっていた。あのまま暮らしていたら人を喰っていた。だから森へ行ったのだ、と告げるまんだったが、中身は息子の性根のままであったという。病で母が倒れたときなど、家の前には食べ物や薬草が山と積まれていたらしい。
ある日のこと、村の女子供4人が惨殺される。まんのしわざであろうか、と戦々恐々とする村人たちであったが…。
創作物における方言のメリットは、多くを語らずとも読み手に一定のイメージを伝えられることにあると思う。とくにTVや映画でひんぱんに聴く方言(大阪弁が代表格かな)は、普遍的なイメージを喚起させる絶好の小道具となる。一方でなじみの薄い方言ではかえって分かりづらくなるデメリットも。
なじみがあるとは言い難い岡山弁を用い、生々しい怖さに拍車をかけた方言活用の成功作『ぼっけぇ、きょうてぇ』が好きならば、本作も愉しめるだろう。「むかし、むかし」で始まる民話のような味わいを持っている。ホラーというよりも郷土誌の読み物という印象を持った。ちょっと読みづらいけど。
【サイト登録日】2010年5月24日 【ジャンル】化け物 モンスター 伝承 民話 方言
▽メモ1阿瀬郷(p165)
「あせご」と読む。阿波と土佐の境目あたり、宍喰の奥に位置する土地の名前。「宍喰 - Google マップ」







