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ウスサマ明王
Ususama Myouou,2006
作:吉岡 暁
Written by Satoshi Yoshioka
長編205ページ/『サンマイ崩れ』所収/角川ホラー文庫
Sanmai Kuzure,2006
謎の生命体ユーマルvs自衛隊特殊部隊の死闘
欧風アクションと和風呪術が渾然一体となった傑作
明治39年初夏のこと。東京府南多摩郡八王子町にやってきた6人家族がいた。飢饉にあえぐ会津を抜けだし、養蚕業の盛んな八王子町の知己を頼って上京したのだった。しかし、破産した知己の姿はなく、行く当てのない一家は荒れ果てた天台宗の寺、慈光寺の経堂に宿を求める。夜ごと賭場が開かれているとも知らずに…。
超法規的存在である「自衛隊対ユーマル戦闘部隊」のコマンドー隊員たちは、ユーマル出現の報を受けて寒村へ出撃したが、その姿はなく、破壊された家屋、うわごとのようにつぶやき続ける死体があるのみだった。
「ユーマル(Unidentified Mimic Avian-like。未特定鳥類様擬態生物)」。100年ほど前より出没する謎の生物。ユーマルに殺された者は肉体的に死んでも精神だけが生き続ける生ける屍となってしまうのだった。
幼稚園から中学校までを内包する現代の慈光寺に侵入者あり。駆けつけた警察、対ユーマル戦闘部隊は、封鎖された境内でユーマルと死闘を繰り広げる。
『サンマイ崩れ』と甲乙付けがたいおもしろさ。グーっと集中して読んだ。電車で読んでいたなら十中八九乗り過ごしていたはず。
モンスターvs自衛隊というアクションホラーの中に明治期の赤貧を洗う一家の悲惨な末路と怨念が練り込まれており、違和感なく溶け合っている。それらの接着剤として使われているのが読経で、「ノウマクサンマンダ、バザラダン」と不動明王の御真言(マントラ)が読み上げられる中、精鋭自衛隊に迫り来るモンスターの不気味な影。日本人だけが共有できる独特かつ贅沢なホラーワールドだ。新作が待ち遠しい作家の登場を心から喜びたい。
【サイト登録日】2010年6月2日 【ジャンル】信仰 お墓 幽霊 精神
▽メモ1本サイトの分類は長編
200ページ超のため、長編に分類。本サイトについて (3)-4
▽メモ2ユーマルの特徴(p126など)
烏枢沙摩明王の使い奴である神獣。ヒンズー語で「鬼カッコウ」を指し、神鳥とも呼ばれる。青黒い羽根、赤く光る目、鋭い爪を持っている。身体能力が高く、夜闇にあっては特殊部隊ですら勝ち目がない。
▽メモ3烏枢沙摩明王
不浄を避けず衆生(しゅじょう)を救う徳を有するという明王。寺院の手洗いなどにまつられる。二臂・四臂・六臂のものがあり、忿怒(ふんぬ)の相で、火焔に覆われる。烏芻沙摩明王。穢迹金剛(えしゃくこんごう)。火頭(かず)金剛。「広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店」
▽メモ4明王
(1)大日如来の命を奉じ、忿怒の相を現し、諸悪魔を降伏(ごうぶく)する諸尊。不動・愛染・降三世(ごうざんぜ)など。(2)陀羅尼(だらに)の異称。「広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店」
▽メモ5不動明王の真言を聴く
成田山新勝寺の公式サイトで聴くことができます。不動明王御真言
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