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『トンコ』文庫表紙(初版)

『トンコ』文庫表紙(初版)

ぞんび団地

Zombie Danchi,2008

作:雀野日名子

Written by Hinako Suzumeno

短編81ページ/『トンコ』所収/角川ホラー文庫

Tonko,2008

ぞんびになりたいのに誰もかじってくれません
ぞんびが群れる住宅地に通う小2女子の願いとは?

 あっちゃんは学校帰りに道草をして、くちなし台駅へやって来ました。誰もいない無人駅です。少し歩くとフェンスに囲まれた住宅地が見えてきます。
 百戸あまりの荒れ果てた住宅地にはぞんびたちが暮らしています。「うー」とうなるだけですが、ケンカもせず、家族そろって幸せそうです。勝手に入ってくる人たちをかじりますが、その人たちもぞんびになって幸せそうです。
 ぞんびになりたいあっちゃんですが、誰もかじってくれません。
 あっちゃんは家に帰ると悲しくなります。優しかったパパとママが変わってしまったからです。パパは機嫌が悪くて注射ばかり打っています。ママはお仕事から帰ってくるとお酒くさいです。パパはママを叩きます。ママはあっちゃんを叩きます。パパとママは裸で抱き合っているときだけ仲良しなのです。
 あっちゃんは、やさしかったころのパパとママと覚えています。一緒にぞんびになって、くちなし台でなかよく暮らしたいです。どうすればいいのでしょう?

 本作のゾンビは恐怖の対象ではない。虐待を繰り返す両親の鬼畜ぶりを際ただせるための存在だ。とはいえ物見遊山でやってくる来訪者には容赦なく襲いかかるので、無害というわけじゃないけど。
 子供の独り語りや振る舞いがしなやかに描かれており、いわゆる"大人こども"の違和感が少ない点も評価できる。
 著者本人が「怖い話が大の苦手です(p248)」と述べているとおりで、ゾンビホラーにありがちな腐乱、ゴア、スプラッタシーンがほとんどない。賛否あると思うけれど、こういうゾンビホラーがあってもよいと思う。

【サイト登録日】2010年6月6日 【ジャンル】ゾンビ 子供 虐待

▽メモ1あっちゃんの本名は「茜」(p119)

▽メモ2市立図書館にあった本『ぞんびになるパウダー』(p86)

 ウェイド・デイヴィスの著作を指していると思われます。
 日本でも『蛇と虹 -ゾンビの謎に挑む』と『ゾンビ伝説 ハイチのゾンビの謎に挑む』の2冊が翻訳されています。学術論文の調子であり、エンタメ要素はほとんどありません。Amazon:ウェイド・デイヴィス