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『トンコ』文庫表紙(初版)

『トンコ』文庫表紙(初版)

黙契

Mokkei,2008

作:雀野日名子

Written by Hinako Suzumeno

短編89ページ/『トンコ』所収/角川ホラー文庫

Tonko,2008

お兄ちゃん、私ね、おうぎラーメンが食べたい
自殺直前にかかってきた1本の電話の意味とは?

 妹が首吊り自殺した。モスクワで研修中だった交番勤務の警察官、良樹はその報せに愕然とした。早くに両親を亡くした。8つ違いの妹、絢子は中学生だった。生活のために警官の道を選んだ良樹だった。
 磯臭いちっぽけな町で人生を終わりたくない、と絢子が言い出した。東京でデザインの勉強をしたい。良樹は悩んだ末、高校卒業とともに妹を送り出した。
 頻繁にメールが届いた。楽しい学校生活を語っていた。親友とも呼べる友達もできた。ファミレスで朝まで語り明かすのだといっていた。
 妹のことならすべて知っていると思っていた。でも、実際にはなにも知らなかった。専門学校を中退した絢子が、清潔な寮から保証人不要の安アパートに引っ越したこと。友と呼べる知己もなく、孤独で、困窮していたこと。
 やがて、良樹は白日夢を見るようになる。アパートの前にいる。妹の部屋の扉が開いている。妹は成仏できていない。いったい何をしてほしいんだ。

 腐乱していく首吊り死体や、兄妹を仲違いさせようとする怨霊に見られるビジュアルとしての怖さ。自殺に駆り立てた虚栄心、新興宗教の権化というべき狂信的な美女をもって表現される心の闇の深さ。
 本作には2つの怖さが練り込まれおり、『トンコ』収録3篇中もっとも恐怖を意識して描いたのだろう、と察せられる。たぶん。
 怖い話が大の苦手、と公言する著者のことだから、ゴアシーンを描くのはキツかったかもしれない。それでも執筆したのは「こういう引き出しも持ってますよ」というアピールではないのか。うがった見方だね。たぶん。

【サイト登録日】2010年6月16日 【ジャンル】自殺 兄妹 怨霊 狂信者 宗教