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『お葬式』文庫表紙(初版)

『お葬式』文庫表紙(初版)

お葬式

Osoushiki,1999

作:瀬川ことび

Written by Kotobi Segawa

短編35ページ/『お葬式』所収/角川ホラー文庫

Osoushiki,1999

先祖伝来のお葬式で振る舞われる食事とは…
第15回日本ホラー小説大賞短編賞佳作入選作

 あたしは私立女子校に通い、成績も良く、四大合格のラインに乗っているけど、短大に進学するつもり。なぜならおとうさんが入院中だから…。
 ヒステリックな英語教師の前でポケベルが鳴り、あたしは慌ててディスプレイを見た。「チチキトク」。
 仕事漬けで不在がちだったおとうさん。うちには家族団欒がなかった。おとうさんに強い想いを持っていたわけじゃないけど、臨終が告げられたとき、兄貴もあたしも感極まって泣いてしまった。
 でも、いつまでも泣いているわけにはいかない。おかあさんが言うところの「先祖伝来のお葬式」を用意しなくちゃいけない。
 ぞろりと集まってきた親戚縁者たちをもてなすべく、料理プロ級のおかあさんがキッチンに立つ。大量の野菜、大きな4つの肉塊。冷蔵庫の中にはラップに包まれた季節外れのスイカ。スイカ? こ、これっておとうさんの頭じゃん!

 これほど笑ったホラーも久しぶり。電車にも関わらず何度も声が出た。
 カニバリズムという禁忌を描きつつも日常生活とのズレをわずかにおさめている。たとえるならば透明で清らかな川。一見無害だけど実際は寄生虫がウヨウヨいるかもしれない。このちぐはぐな様を軽妙でリズム感のある文章で表している。著者はライトノベル作家として10冊以上の作品を発表済みであり、市場で鍛えられた経験が物を言っているのだろう。
 立ち位置としてはブラックユーモアに寄っている作品なので、(たとえ人を喰う話でも)怖いホラーを求める向きにはオススメできない。

【サイト登録日】2010年11月1日 【ジャンル】人肉 食人 カニバリズム 家族

▽メモ1第6回(1999)日本ホラー小説大賞短編賞佳作

▽メモ2セリフ「おれには、おれにはできない(p35)」

 鉄郎とトチロー?