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『お葬式』文庫表紙(初版)

『お葬式』文庫表紙(初版)

ホテルエクセレントの怪談

Hotel Excellent no Kaidan,1999

作:瀬川ことび

Written by Kotobi Segawa

短編40ページ/『お葬式』所収/角川ホラー文庫

Osoushiki,1999

十指に余るホテルエクセレントの怪談話
新米フロントマンが体験する深夜見回りの恐怖

 B級ロックバンドのライブと学会の開催が重なり、平日だというのにホテルエクセレントは満員御礼の大賑わいだった。
 フロント業務が一段落したとき、バンドの追っかけ少女がやってきて、「エレベーターに気味の悪いお婆さんがいる」
 新米フロントマンの杉野が見に行くと、たしかにエレベーターの中で上品な微笑みを浮かべた老女が乗っていた。エレベーターが上階へ向かい、戻ってきてもまだ乗っている。営業スマイルを貼り付かせ、やんわりと注意した杉野の前で扉が閉まりかける。慌ててボタンを押すと、エレベーターはもぬけの殻。
 見なかったことにしよう。フロントに戻った杉野に先輩フロントマンの広瀬が耳打ちする。「着物姿のお婆さんだろ? ホテルエクセレントの七不思議。いやいや十でも足りない怪談話」
 深夜見回りに出発した杉野を待ち受ける、奇々怪々な出来事の数々。

 平穏な日常に何かが割り込む、または欠如するさまを描くことが小説の王道。運命の恋人、事件や事故、天災と病、迷い猫に迷い犬、超常現象から怨霊まで、割り込んでくるものはジャンルによってまちまちだけど、日常とのズレが大きいほど印象的な作品となる。
 ホラー小説は、日常と怪異のズレを描くことで成り立っているわけだけど、著者はこのズレを見事な手腕で笑いに転化している。
 とくに宴会場のシーンに大爆笑。主人公の振る舞いは滑稽だけど、その気持ちよくわかるよ〜、と思わず肩を叩いてあげたくなった。

【サイト登録日】2010年11月3日 【ジャンル】幽霊 ゴースト ホテル