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『お葬式』文庫表紙(初版)

『お葬式』文庫表紙(初版)

十二月のゾンビ

Jyuunigatsu no Zombie,1999

作:瀬川ことび

Written by Kotobi Segawa

短編41ページ/『お葬式』所収/角川ホラー文庫

Osoushiki,1999

ゾンビとなった女性から告げられた恋心
笑いと哀しみが同居するリリカルホラー

 本屋のバイトから帰宅した大学生の西田直人は、今日も入っていた無言留守電にうんざりしていた。いったい誰がいたずらを?
 夕食のコンビニ煮込みうどんにありつこうとしたとき、ドアがノックされる。そこにはバイト仲間の田嶋が顔の左側を手で押さえて立っていた。地味な女の子という印象しかなく、話らしい話をしたこともない。こんな夜更けにいったい…。
 交通事故に遭ったという田嶋が手をどけると、左顔面は血まみれのグチャグチャで、飛び出た眼球が垂れ下がっている始末。はね飛ばされて顔面から叩きつけられたとき、頭蓋骨の割れる音がした、とこともなげに話す。もちろん脈もない。
 気が動転した直人は自宅へ帰ることを勧めるのだが、気持ちの整理をするために一晩だけ泊めてほしい、と懇願される。
 月明かりが差し込む部屋で、直人を慕っていたこと、無言電話が高じてストーカーになったこと、処女なので死ぬ前に経験したかったけど西田君どう?

 恐怖と嫌悪を感じつつも不憫の情に流され、熱いお茶を振る舞ったり、彼女の話をきちんと聞いてあげる主人公。根は良いヤツなんだろうけど、ネジが緩んでいるようにも見える。このバランスが絶妙で、何度も爆笑した。
 お酒でアルコール漬けにしたほうが内蔵にいいかもしれない、と女子ゾンビに言われ、「そうか、その手があったか」と日本酒を振る舞うシーンも最高におかしい。
 センチメンタルなラストを迎えるけれど、直前まで笑いを練り込んで湿っぽさを強調しないように配慮している点も巧みだ。

【サイト登録日】2010年11月3日 【ジャンル】幽霊 ゾンビ 交通事故