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心地よくざわめくところ
Kokochiyoku Zawamekutokoro,1999
作:瀬川ことび
Written by Kotobi Segawa
短編31ページ/『お葬式』所収/角川ホラー文庫
Osoushiki,1999
原発事故のニュースに色めく大学生たち
のんきな彼らの頭上に銀色の灰が降り注ぎ…
大学生のおれは新聞の第一面を見て「おぉっ」と声が出た。東ヨーロッパ某国で原発事故が起きた。マスコミ各社は錯綜する情報に混乱しているようだ。
危機感が高いほど、おれのテンションは上がっていく。滅亡は怖いが、その感情を包み込むおちゃらけた躁気分は増すばかりだ。
「なんだ、まだ知らないのか。よしよし、ならば教えてあげよう」
事故について講釈を垂れたい一心で文芸部の部室に顔を出したオレは、テンションを同じくする友人の窪田と合流。
「ええい、このパニックを他の者にも分けてあげたい!」と後輩や漫研の連中を巻き込み、世界を揺るがす不幸な事故を目一杯楽しんでいた。
キャンパスは人気が少なく、休講も相次いでいる。夕焼けにはほど遠い時間なのに、空は赤味を帯びている。おまけに銀色の灰まで降ってきた。
オレは拳を握りしめて叫んだ。「おそるべし、ちゃいな・しんどーろーむ!」
友達とじゃれあうお調子者たちを描いたマンガのような作品。深く(というか何も)考えず、ゆるい日常を楽しむ時期をいままさに過ごしている人ならば、きっと笑いながら読めるに違いない。
そうした日々は遠く過ぎ去り、社会の穢れにまみれた人が読むと、なんだこれ? 読んだ時間返せよ!と思うかもしれない。
70年代あたりのフォークソングにあるような、狭い世界でベタベタ馴れ合う内輪話や、変に老成して昔を懐かしむ若者像みたいなのが苦手なので、同じ雰囲気を持つ本作を読み切るのは、かなりキツかった。
【サイト登録日】2010年11月4日 【ジャンル】終末 放射能 原発 事故







