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『厄落とし』文庫表紙(初版)

『厄落とし』文庫表紙(初版)

形見分け

Katamiwake,2000

作:瀬川ことび

Written by Kotobi Segawa

短編28ページ/『厄落とし』所収/角川ホラー文庫

Yakuotoshi,2000

赤の他人の遺品が起こる不思議な現象
家守りの自覚が芽生えた長女の話

「車から荷物下ろすから手伝って!」
 大学ゼミのレポートがはかどらず、悶々としていた千賀子を呼ぶ母親の嬉々とした声。知り合いの姑が亡くなり、形見分けに呼ばれた母は、満面の笑みを浮かべてご帰宅したのだった。対する父は仏頂顔で疲れた様子だ。
 千賀子の部屋の隣、襖を隔てた仏間にさまざまな形見が運び込まれる。大きな和箪笥に三面鏡、食器からおとそ台まである。面識もない人の遺品をよくもこれだけ持ち帰ったものだ。帰宅した高校生の妹、由佳もビックリしている。
 黒地に白い蝶を散らした着物をはおり、三面鏡に姿を映してみた千賀子は、それ以来不思議な出来事を体験するようになる。
 さまざまな体験を通じて、長女として家を守っていく宿命に目覚める千賀子。
 長押には祖父母の、両親の遺影が飾られている。覗き込んだ三面鏡には幼い頃の、20歳の頃の、年老いた今の自分の姿が映っているのだった。

「遠慮は損」を信条としているような肝っ玉母が知り合いの遺品をごっそりと持ちかえる。遺品にまつわるお笑いホラーだろうな、と想像したけれど、しんみりとしたラストを迎えたのは意外だった。
 一族の歴史を育んできた家を引き継ぎ、絶やすことなく次代へ引き渡すことがテーマなのだろうけど、ホラーの、しかも短編で扱うには少々荷が重い。
 とくに長女がサラっと宿命を自覚するのは少々無理がある。どうせならば怪異に追い詰められて泣く泣く家を継ぐ、という展開のほうが著者のユーモアセンスにうまくなじんだのではないかと思う。勝手な言いぐさだけどね。

【サイト登録日】2010年11月9日 【ジャンル】遺品 先祖 幽霊