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『夏合宿』文庫表紙(初版)

『夏合宿』文庫表紙(初版)

夏合宿

Natugassyuku,2001

作:瀬川ことび

Written by Kotobi Segawa

短編45ページ/『夏合宿』所収/角川ホラー文庫

Natugassyuku,2001

森に棲んでいるという火の玉、天狗、山姥
夏合宿の奇怪な出来事を描いた成長物語

 中学2年生の俊輔は、夜間バスに揺られながら剣道部の合宿先へ向かっていた。進学クラスにいる俊輔にとって夏合宿に参加する最後のチャンスなのだ。
 コンビニが一軒あるばかりのバス停に到着すると、面倒見のいい先輩部員の片山が出迎えてくれた。合宿所まで徒歩20分くらいだという。
 別荘へ向かう車の往来はあるが、森の脇道へ入ると周囲は暗く、人気もない。
 急な登り坂にさしかかり、ふと振り返った俊輔は、青白い火の玉のようなものが追いかけてくるさまを見る。肝をつぶして逃げ出した俊輔と片山の前に、自転車に乗った老婆が通りかかる。
「ああ。ヒカリモンさ。一服してやり過ごせばいいんだよ」
 老婆の言葉とおり、火の玉は俊輔と片山の脇を通り過ぎていく。
 翌朝。剣道の猛稽古に汗を流す俊輔は、小学校の校庭の木陰に自転車を止め、悠然とタバコをふかす老婆と再会する。いったい何者なんだろう。

 読み出しで主人公が中学生だと判明。『心地よくざわめくところ』や『戦慄の湯けむり旅情』のような著者お得のベタベタ馴れ合い話かと思い、身構えて読み進めた。杞憂だった。ほっとした。
 先輩・後輩の人間関係を軸にした成長物語であり、妖怪婆(?)がお笑い担当として絡んでくる。声を出して笑うほどのシーンはなかったけれど、全篇ほのぼのとした雰囲気で読後感は良かった。
 猛スピードで自転車をこぐ妖怪婆(都市伝説のジェットババア?)の存在が味わい深く、ラストシーンの再登場では主人公と同様に頬が緩んだ。

【サイト登録日】2010年11月28日 【ジャンル】妖怪 山 合宿 学生