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化身
Ke-Shin,2009
作:宮ノ川 顕
Written by Ken Miyanogawa
短編71ページ/『化身』所収/角川書店
Ke-Shin,2009
這い上がれぬ池の中で奇跡の変化を遂げていく男
第16回日本ホラー小説大賞受賞作
なにもかもがイヤになり、強引に1週間の休暇をとって飛行機へ乗ったぼく。
旅先でジャングル深く分け入ったぼくは、足を滑らせて池に落ちてしまう。周りを囲む高さ5メートルの壁は大理石のようにツルツルとしており、とても登れそうにない。
清澄な水に満たされた池の深さは約10メートル。中央部から柱のような岩だけが水面に付き出しており、その三畳半ほどのスペースで生き抜く決意をする。
水に触れる機会が増えるたびにぼくの身体が変化をしていく。肺は浮き袋のような役割を果たし、耳たぶと小鼻には蓋が付いて水の侵入を防ぐようになる。指には水かきが生え、足が1つにくっついてヒレの役割を果たす。
ぼくは池に棲む生き物の頂点に君臨し、自由気ままな生活を満喫していた。
しかし、人間としての記憶がすべて失われたわけではない。
池の上を渦巻く竜巻を使って池からの脱出を試みるのだが…。
淡々として読み応えのない作品。淡々としていることが悪いのではなく、ホラーの命脈である"恐怖"まで薄味になっている。
そもそも主人公の人物像に理解が持てない。「ムキになるのが悪い癖(p9)」で池の落ちるのだけど、「(池の周囲の壁は)大理石のような平滑(p8)」と描写して、だから逃げられないんだ、と説明するのみ。この様子を「事なかれ主義の風刺」と捉えるべきなのか。どうにも中途半端な気がする。
ラストも疑問。再び化身して人間社会に帰っていく主人公にとってそれこそが恐怖なのだ、と読むべきなのか。とにかく全編に渡って舌足らずな印象。
【サイト登録日】2011年6月13日 【ジャンル】妖怪 山 合宿 学生
▽メモ1第16回(2009)日本ホラー小説大賞大賞受賞作
▽メモ2短編での大賞受賞は4作目
短編における大賞受賞としては4作目です。(『ぼっけぇ、きょうてぇ(第6回)』『姉飼(第10回)』『夜市(第12回)』)
▽メモ3 日数の矛盾
全編を通じて日数の数え方に疑問符が付きます。
まず、開始2ページ目に「1週間、何も食べていない(p8)」と独白があり、そこから落ちたときの様子を(つまり過去に戻る)振り返るわけですが、「4日目に蟹を食べた(p15)」という描写が出てきます。いったいどこを起点に話が進んでいるのか、よくわからないです。







