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『今昔奇怪録』文庫本表紙(初版)

『今昔奇怪録』文庫本表紙(初版)

今昔奇怪録

Konjyakukikairoku,2009

作:朱雀門 出

Written by Idzuru Suzakumon

短編53ページ/『今昔奇怪録』所収/角川ホラー文庫

Konjyakukikairoku,2009

過去と現在をつなぐ妖しい怪異本の魅力
第16回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作

 その週末、私は妻とともに町会館の掃除に出かけた。私は人嫌いだし、この土地に移り住んで3年になるが、いつかは転職して引っ越すつもりだった。自治活動にも深入りしたくないが、妻に任せきりにしてきた気後れもあっての参加だった。
 掃除を終えて一休みしていた私は、廊下の本棚に収められた「今昔奇怪録」なる本を見つける。当地に古くから伝わる不思議な出来事の伝聞集で、「ぼうがんこぞう」「三人相撲」「くびつりのきのこと」「みささぎの丸煙管」などの題目が並んでいた。
 なんとなしに本を借り受けた私は、その帰り道、顔いっぱいに巨大な目を持つ物の怪を目撃する。これが奇怪録にあった「ぼうがんこぞう」なのか。
 私の話を聞き、行動的な妻の琴線に触れたらしい。私たち夫婦は三歳になる娘を連れ、奇怪録に記述されていた場所を訪ね行く。
 それは怪を軸とした過去と現代の邂逅なのだろうか…。

「『化身』がなければ大賞に推していた」とホラー小説大賞審査員が絶賛した本作。たしかに『ボウガンコゾウ』や『三人相撲』などの怪異の作り方は上手なんだけど、小説としてはちょっと残念。
 生活感のまったくない主人公一家の行動と怪異のエピソードが交互に登場し、両者にはのっぺりとした"間"がある。この"間"が恐怖の溜めの役割を果たしていないと感じた。一方でこの"間"に不穏な気配が読み取り、怪談の世界に引き込まれる読み手もいるだろう。評価が極端に分かれる作品かもしれない。

【サイト登録日】2012年4月9日 【ジャンル】怪談 本 道具

▽メモ1第16回(2009)日本ホラー小説大賞短編賞受賞