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『穴らしきものに入る』文庫本表紙(初版)

『穴らしきものに入る』文庫本表紙(初版)

穴らしきものに入る

Amarashikimononihairu,2011

作:国広正人

Written by Masato Kunihiro

短編23ページ/『穴らしきものに入る』所収/角川ホラー文庫

Amarashikimononihairu,2011

穴に入りらないと気が済まない男の奇妙な日常
第18回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作

 晴天の日曜日。洗車をしていると、ホースの穴に入れた指が抜けなくなった。引くかわりに押してみたら手首がズルリと入り、ついには全身が穴に潜り込んで、ホースの反対側に出てしまう。
 その日から穴に入ることが私の関心事となった。難易度をABCに分類し、あらゆる穴に挑戦した。ランチ中の同僚の口、契約書に開けたパンチ穴、お銚子、ゴルフ場のカップ、ドーナツ、夜の営みでは頭から妻に入り、始発電車の吊り輪をくぐり抜け、左手の親指と人差し指で作った輪の通り抜けにも成功した。
 穴を通り抜けることで体力が増して贅肉がなくなった。日々穴を探し求めるために集中力が強まり、制覇するたびに自信が湧き出す。部下の信望が厚くなり、役職も上がり、ホテルに誘った受付嬢の穴へも頭から侵入してやった。
 ついには私は難易度AAの穴を制覇しようと考える。身近にあって危険度の高い穴、コンセントに挑むのだ。

 冒頭から契約書のパンチ穴をくぐる(p6〜p12)までは、すごぶるおもしろい。「私は身体が柔らかい方ではない(p9)」の件では周囲の目を気にせず、吹き出してしまった。奥さんや同僚など、周囲の人々の反応も笑える。
 ただ、ちょっと残念なところもある。左手親指と人差し指の輪を抜けた瞬間の描写がそっくり抜けている点だ。最初はウェイトレスに邪魔をされて主人公自体が見損なっている。それ以降1週間にわたって指輪抜けを堪能した(p23)とあるものの、やはり描写されていない。荒唐無稽で成り立っている物語なのだから、その瞬間もさらなる創作力で補ってほしかった。

【サイト登録日】2012年4月17日 【ジャンル】ユーモア 奇人 異次元

▽メモ1第18回(2011)日本ホラー小説大賞短編賞受賞