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『穴らしきものに入る』文庫本表紙(初版)

『穴らしきものに入る』文庫本表紙(初版)

よだれが出そうなほどいい日陰

Yodare ga desounahodo ii hikage,2011

作:国広正人

Written by Masato Kunihiro

短編49ページ/『穴らしきものに入る』所収/角川ホラー文庫

Amarashikimononihairu,2011

日焼けが怖い! 日向が怖い!
病的に日光を嫌う女の運命を変えた1日の出来事

 太陽の光を避けることは、私、黒曜石チカの生活そのものだ。遮光カーテンで覆った真っ暗な部屋で目覚める。壁紙からテーブル、食器類まで黒色で統一してあるし、もちろん室内でもサングラスを外さない。食事といえばカリカリに焦がしたトーストとハムエッグだ。
 極力肌を露出しないように服装を着込み、皮手袋をはめ、2本の日焼け傘を取り付けた黒塗りの自転車にまたがって、ヤクルトンレディとしての1日が始まる。
 街は日向で溢れているが、7年かけて作り上げた日陰地図が頭の中に入っている。日陰が多いルートを通ってお客様宅へヤクルトンを配達するのだ。
 しかし、お客様宅の子供のいたずらがたたり、右手首にごくわずかな日焼けが生じてしまった。私は混乱し、続いて激怒する。あのガキめっ。
 激情にかられるまま、ガキ目指して猛スピードで自転車をこぐ。
 私の生活はいったいどうなってしまうのだろう…。

 これまでの2篇(『穴らしきものに入る』『金骨』)は、我知らずにニヤついてしまうユーモアを感じたけれど、本作にはそれがない。主人公の偏執的な日向嫌いはおもしろくもへったくれもないし、もちろん怖くもない。著者には恐怖を求めていないので、だからこそ笑わせてくれないと。
 口裂け女やターボババァのような都市伝説モンスターとして読み替えれば別のおもしろさが見えてくるのかもしれないけど、さりとて再読する苦痛を考えば、もういいやと諦めて1週間もすれば内容も忘れてしまう。そんな作品。

【サイト登録日】2012年4月19日 【ジャンル】太陽 奇人 自転車 女性