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『穴らしきものに入る』文庫本表紙(初版)

『穴らしきものに入る』文庫本表紙(初版)

エムエーエスケー

MASK,2011

作:国広正人

Written by Masato Kunihiro

短編53ページ/『穴らしきものに入る』所収/角川ホラー文庫

Amarashikimononihairu,2011

奇病を患ったサラリーマンの運命は?
醒めない悪夢を描いた抱腹絶倒のかぶり物ホラー

 寝ぼけ眼で鏡に向かった増子満は、オレンジ色のマスクをしている自分にビックリする。昨日も飲み過ぎてしまったか、とマスクを脱ぐや、紫色のマスクが現れる。マスクを脱ぐたびに次々と新しいマスクが現れ、足下に山が築かれていく。
 心配する妻をよそに出勤する増子だったが、マスクマンだ!と小学生たちに追いかけ回され、電車に乗れば周囲の視線が突き刺さる。会社に行けば部長からお小言をくらい、自分の手柄になるはずだった仕事も部下にさらわれてしまう。
「エムエーエスケーですね」とは医者の弁。慢性的覆面疾患症、またはフクメンウィルス不全症候群で、世界に数例しかない奇病だという。しかも、脱いだマスクを被った人は感染してしまう伝染病とも。
 遅かった。拾ったマスクを被った小学生たちが! 同僚のOLが! 感染は拡大していたのだ。新聞の第一面にエムエスケーの文字が踊る。
 治療法もない奇病だが、意外な解決法が見つかる。それは…。

 非日常な状況に置かれても、なお日常を過ごそうと奮闘するサラリーマン主人公の姿が笑える(増子満という名前もいい)。小学生に追いかけられたり、電車内での肩身の狭い描写、次々と伝染していく様や、部長への仕返しなど、腹を抱えて笑った。その一方で建前社会における仮面の揶揄かも、意外と深いかも、と思ったりする。残念なのはラストが尻すぼみなところ。もっと大げさに風呂敷を広げてもよかった気がする。
 著者がモチーフとしたのは、中国の芸能「変臉(へんれん。変面とも)」だろう。お面を次々とチェンジさせる早業の職人芸には見とれてしまう。

【サイト登録日】2012年4月19日 【ジャンル】 奇病 伝染 仮面 マスク 伝染

▽メモ1変面の動画

 YouTubeで「変面」と検索すれば類似動画がたくさん見つかる。とくにお見事なのがこちら。中国雑技王 張海輪 Cho-Kairin 変面.avi - YouTube