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狂奇実話 穽
Kyoki Jitsuwa Otoshiana,2011
著:黒木あるじ
Written by Aruji Kuroki
掌編集
竹書房(竹書房文庫)/本体629円+税
単行本初版:−
新書本初版:−
文庫本初版:2011年11月5日/総222ページ(40w×15L)
心の闇をえぐり出すイカれた人間たちの行状41篇を収録
イカレポンチな人間の異常行動を被害者サイドの体験談としてまとめた実話サイコホラー。要するに平山夢明を始祖とする『東京伝説』シリーズの実録犯罪ものと同列の掌編集です。
実話系ホラーは、"装飾を廃した叙述"という構成が確立しています。出来事を順番に淡々と書き連ねるわけで、著者の個性が発揮しづらいジャンルです。
平山夢明が積み重ねてきたジャンルを昇華させる。この大難題を著者がいかに取り組み、解決していくのか。今後の奮闘を見守りたいと思います。
本書に関するマメ情報
◆解説文で平山夢明いわく「実話怪談を取材中、異常な人間の話が数多く集まり、それが『東京伝説』に結実した(→p220〜p221)」というようなことを述べています。
◆平山夢明プロデュースによる実話恐怖シリーズ『FKB(不思議で・怖くて・不気味な)』の1冊。
本書収録作品一覧(◎はお気に入り作品)
作品名 | 内容 |
---|---|
おもいで | ナカタ君が大学生時代に半同棲していたときの話。彼女のアパートの押し入れから出てきた異様な収集物に肝を冷やす。 |
◎記念撮影 | 轢き逃げに遭って身動きのできないイタノさん。自転車で通りかかった中学生たちの異常な行動とは? |
葬女 | 見ず知らずの他人の葬儀に出席することが趣味のエリさん。何度も見かける女性を同好の士と思って声をかけるのだが…。 |
接着 | 公衆電話の受話器は塗布されていたのは強力な接着剤だった。手と耳が取れなくなってしまった女性めがけて凶器が降り注ぐ。 |
ファン心理 | バンドに心酔するあまり、歌詞の通りに自らの肉体を傷つけていく少女ソノミ。ついにはライブ会場でカミソリを取り出すと…。 |
犬刈村 | 東北の小さな村でのこと。大地主の息子たちは残虐な性格で悪評高いのだが、ついにはお互いの残虐さを競うため、村のペット犬たちへの虐待を始める。 |
ビーチブラック | 後輩の退職祝いで深夜帰宅になったミサさん。歩道橋にさしかかったところで、思わぬ重傷を負うことになるのだが、その理由とは? |
聖母 | 空のベビーカーを押して産婦人科を訪れる女性の話。 |
夜食 | 彼氏がバイト先から持ち帰えるコンビニ弁当のおかげで太ったノリエさん。苦労の末ダイエットに成功するが、それを愛情の移ろいと受け取った彼氏が精神のバランスを崩してしまい…。 |
◎逆狩り | 鬱憤を晴らすために老ホームレスを虐待する中学生。1週間居座れればお金がもらえる、と何度虐待されても立ち退こうとしない老ホームレス。そして1週間目を迎えたとき、その目的が明らかになる。 |
不明 壱 | 生きた子犬を庭に埋める母親。その意味を問いただす機会はいまだ巡ってこないという。 |
腐女 | 精神を病んだ女性から「運命の人」と見初められた男性が体験した異様な出来事。 |
ハングマン | 軽自動車で帰宅途上のハルカさん。その車には思わぬ狂気が同乗していたのだったが…。 |
◎ひとだすけ | 初めてのマイカードライブで穴場の展望スポットへ向かったシオリさん。夜の闇が広がる中、突然2人の男性に担ぎ上げられて崖下へ落とされそうになる。その理由とは? |
A | お手軽アルバイトとしてアダルトビデオ撮影に応募したミズキさん。連れて行かれた廃屋で撮影前のシャワーを浴びるのだが、片腕のない女性の写真、血まみれの灰皿、空薬莢などを見つけてしまう。 |
マスカット | ラッシュ時の電車で女性の鞄にひたすら痰を吐きかける痴漢の話。 |
やさしい大家さん | 下町のアパートで一人暮らしをするセキグチ君。そんな彼を心配し、たびたび手料理を持参してくれる老女の大家さん。その好意に感謝するセキグチ君なのだが、不動産屋いわく、そのような大家は知らないという。彼女はいったい何者なのか。 |
不明 弐 | 知らない老人からもらったおにぎり。海苔の代わりに巻かれていたものとは? |
◎なう | 次々と送られてくる男女の写真は、すべて自殺の模様を順番に撮したあった。いったい誰が何の目的で送ってくるだろうか。 |
お願いタクシー | 深夜2時に乗り込んだタクシー。女性を殺したときに録音したとみられるカセットテープを再生する運転手は、どうしても聴き取れない箇所があるので一緒に聴き取ってほしい、と強制する。 |
1500 | 暴力団の準構成員だったマサキが、シノギを得るために小さな印刷工場を貶めたときに起こった話。 |
東京 | 二十数年前のこと。就職のために東京で一人暮らしを始めたカツミさん。寝付かれずにいると、ダンプと自転車の接触事故を目撃してしまう。いったんは通り過ぎたダンプだったが、やにわに戻ってくるなり理解したがい行為に出る。 |
夢の女 | 女性関係にだらしのないヤス。ひどい目に遭わせた女性たちから罵られる夢を見るのだが、ある夜目覚めると裁ちばさみを持った女が自分を見下しており…。 |
不明 参 | 亡き祖父が持っていた人骨。亡き戦友のものと聞いていた滝本さんだが、祖父は病気で戦争へ行ってないことがわかる。いったい誰の骨なのだろうか。 |
◎ママ友 二題 | (1)フックが外れた安全ピンを我が娘に持たせているユカママ。その理由とは? (2)3月の原発事故以来、子供の食事に神経質なユリママ。その心配が度を超えて強迫観念となったとき、我が子への苦難が幕を開ける。 |
ネックレス | 二股を掛けていた女性に捨てられた男性が心を壊す。その結果、思わぬ災難が女性を襲うのだった。 |
大復讐 | 中学生時代のひどいイジメが原因で家族が崩壊してしまった男性が、かつてのいじめっ子に復讐を企てる。それは用意周到にしておぞましい内容だった。 |
包 | 夜道を急いでいたミユキさんの頭に突然のビニール袋。なんとか窒息を逃れたが、犯人は捕まっていないという。 |
ひかり | 失明して絶望の淵にあった女性が、前向きに生きていこうと誓ったきっかけとは? |
人体の神秘 | (1)温泉地の場末ストリップで目撃した踊り子の妙技。 (2)有名AV女優のストリップ公演にいた不気味な男の行動。 |
ベタ | 大学時代でのイベントアルバイト体験談。有名女性アーティストのベタ(楽屋のガードマン役)に選ばれたカワグチ君だが、誰もいないはずの楽屋から喘息のような呼吸音が聞こえてくる。その主とはいったい? |
◎呪肉 | ガガというあだ名を持つエキセントリックな専門学校生の話。呪物を集めるのが趣味な彼女に彼氏が出来た。その彼氏に手ひどく振られた彼女は、手持ちの呪物で呪いをかけるのだったが…。 |
聖者が家にやってきた | マミさんが子供だった頃のこと。自宅を訪ねてきた浮浪者に「ザルを貸してほしい」と頼まれた。砂金を獲る冒険者では、とザルを貸した数日後、玄関にザルとトウモロコシの半分が置かれていた。そんなやりとりが何度も続くのだが、ザルの本当の利用方法を知ったとき、マミさんは失神する。何のために使っていたというのだろうか。 |
不明 四 | 帰宅したら見知らぬ男が歯磨きをしていた。慌てて交番に駆け込んだが。 |
汚部屋王 | 汚部屋に住むケンが強盗に遭ったときの話。 |
老いらくの恋 | 老人ホームにおける恋愛は、嫉妬と死が渦巻く修羅場だった。 |
天使 | 二十年ほど前の経験談。塾で知り合った同い年のミサキさんに恋をしたコバヤシ君。彼女が女子トイレに入ると、男子トイレで聞き耳を立てるコバヤシ君は「てんしさま」と祈願している声を聞く。その理由を問うたら天使に会わせてくれるという。廃団地の一室に連れて行かれたコバヤシ君は、思わぬ物を目にする。 |
不明 伍 | 週一回オリゴ糖をカゴ一杯に買う女性客。その真意とは? |
◎紅粥 | 人形のような愛くるしいシオリさんと交際を始めたタケル君。人事異動で慣れぬ部署の配属された彼は胃腸を壊し、彼女にお粥を作ってもらうのだが、そこに振りかけた赤黒い粉は身の毛もよだつ物を素材としていたのだった。 |
コンビニオジサン | 仕事がてんでダメなコンビニのオジサン店員を怒鳴りつけた女性客が、とんでもない嫌がらせを受けるはめになる。 |
折鶴 | シルクロードの撮影を請け負ったビデオカメラマンの有路さん。ある村にさしかかったとき、ガイドの注意を無視して素晴らしい景観をビデオに収めていたところ、小銃を持った民兵に拉致される。美しいと見えたのはケシの花だったのだ。処刑覚悟で村に連行された有路さんはとっさに機転を働かせ、持ち歩いていた折り紙で鶴を折って子供たちに差し出すのだが…。 |