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2008年第15回

おもな出来事 2008

■1月中国生産の冷凍餃子から有毒成分検出

■1月日本の調査捕鯨をグリーンピースが妨害

■2月東芝が『HD DVD』の開発と販売から撤退

■8月北京夏季オリンピック開催(中国)

■8月グルジア共和国にロシア連邦が武力介入

■9月大手証券リーマン・ブラザーズ破綻

■10月松下電器産業がパナソニックへ社名変更

■11月オバマ勝利。初のアフリカ系大統領誕生へ

荒俣宏氏 選評(要約)

 十九世紀末にグラン・ギニョールが発明した残酷劇が、なぜここまで二十一世紀の作家に取り憑くのか、もはや、それを嫌悪するよりも、本気で読み込んでみることが生産的だ、とわたしは思い直すことにした。

庵堂三兄弟の聖職
 ごくまっとうな兄妹関係の話を軸としながら、なんと異様な素材や状況で外を固めたことか。この矛盾は失敗すると惨めだが、成功するとヴォルテールのような理知の味を漂わせる。本作や後者である。

粘膜人間
 脳を半分失くした主人公の暴走がすごい。しかし、ここまで逸脱するのであるならば、作品をわざと未来のことにする「手加減」は必要なかった。さまざまな批判を浴びてもなお、仮想現実に命をかける迫力が欲しかった。

トンコ
 葉山嘉樹が生きていたら喝采するような寓話かもしれない。ブタのネタでここまで読ませた力を買う。

高橋克彦氏 選評(要約)

 惜しくも落選の憂き目に遭った作品の中にも、このまま刊行したとて注目されるものがいくつもある。これほど拮抗したのは珍しい。それは同時に抜きん出た一冊がないという意味にもなる。

庵堂三兄弟の聖職
 異常な状況がちっとも怖くないように筆を進めているわけで、ばかりか笑いや人の心の温かさまで加味することに成功している。怖くなければホラーではないと常日頃口にしている私だが、この作品にだけは感心させられた。

林真理子氏 選評(要約)

 二年ぶりに大賞を出すことが出来、本当によかったと心から安堵している。深い文章の力に支えられてこそのホラーだということが、浸透してきたようで嬉しい。

庵堂三兄弟の聖職
 その物語づくりのうまさに感心した。そして読み終わった時は、さわやかな読後感があった。長編でこれだけのレベルのものが書けたら、プロの作家としても充分通用するはずである。

粘膜人間
 悪夢のような拷問シーンが実に不愉快で、作者はかなり危険なところに近づいている気がする。パソコンを打ちながら、このシーンに酔っているのではないか。といっても。ストーリーづくりのうまさ、文章力は認めざるを得ない。

生き屏風
 耽美の世界は見事で、よくこれだけ描ききった。

トンコ
 このまま純文学雑誌に出しても高い評価を得たはずだ。どこがホラーなのかよくわからないという声もあったが、食用豚の生き方が垣間見えて哀れを誘う。

第15回日本ホラー小説大賞受賞作

大賞

「庵堂三兄弟の聖職」初刊表紙

遺体から物を作り出す遺工師兄弟の人生模様

庵堂三兄弟の聖職

受賞者:真藤順丈

長編賞

「粘膜人間」初刊表紙

人間と河童が繰り広げる残虐絵巻

粘膜人間(「粘膜人間の見る夢」改題)

受賞者:飴村 行

短編賞(同時受賞)

「生き屏風」初刊表紙

鬼の子と妖たちが織りなす温かな物語

生き屏風

受賞者:田辺青蛙


「トンコ」初刊表紙

無垢な魂を待ち受ける容赦のない現実

トンコ

受賞者:雀野日名子

 2005年の第13回以来の三賞そろい踏みです。史上初の同時受賞(短編賞)となり、奇しくも田辺青蛙、雀野日名子の両名とも女性です。
 鬼畜系あり、癒し系あり、とバラエティに富んだ作品がそろっています。
 ホラー(怖さ)にもいろいろなタイプがあり、それらが市場に受け入れられつつあることがわかります。この流れを大切に育ててほしいものです。